江尻立真、最強ジャンプで「おじゃる丸」連載!

 以前週刊少年ジャンプで『P2! - let's Play Pingpong!』を連載されていた江尻立真先生が、このたび最強ジャンプで、おじゃる丸(原案:犬丸りん)の連載を開始されました。
 最強ジャンプは「最強キッズのための最強児童エンターテイメント雑誌」と銘打って昨年12月に創刊された、集英社の児童向け季刊誌です。今月発売の2011年春号で、2号目となります。
最強ジャンプ春号 2011年 5/15号 [雑誌]
http://www.shonenjump.com/j/news/detail101108_2.html

 公式サイトからもわかるように週刊少年ジャンプの人気漫画のスピンオフが多めの内容となっています。

 江尻立真先生が描くおじゃる丸NHK教育で放映されているアニメですが、こちらはスピンオフではなく、コミカライズのようで今回はおじゃる丸とカズマの出会いが描かれています。

http://www9.nhk.or.jp/anime/ojaru/story/series01/01.html#a01

 アニメ公式サイトのあらすじから第1シリーズの1話2話の内容であるようです。昔アニメを見たときの私の記憶と照らし合わせてもだいたい同じように展開されていて、11P(扉絵と情報抜いて実質9P)で出会いまで上手くまとまっており、あーおじゃる丸だなーという感じです。

 アニメをしっかりみているわけではありませんが、違和感の少ない絵柄だと思います。

 出会いの瞬間。きゃっちの描き文字が可愛い。

 声が聞こえてきそうです。
 「P2!」や「World 4u_」も結構丸っこい可愛い絵柄でしたので、相性は良いのではないでしょうか。ナレーションやモノローグを効果的に使った表現は、対象年齢などもあってか使用されておりませんが、江尻先生らしい優しい雰囲気でした。

 11Pと物足りなさはありますが、久しぶりの江尻立真先生の漫画ですので、飢えていたファンはチェックしてみるとよいのではないかと思います。(季刊でこのペースだと単行本にならない可能性も十分考えられますので、そういう意味でも……)

 最後に、以前ジャンプSQに「World 4u_」が掲載された際、「P2!」開始前に週刊少年ジャンプ2006年3号に掲載された「World 4u_」が読めるようになっていたのですが、今でも読めるようなので、未読の方はこの際に読んでみてはいかがでしょうか。

 http://jumpsq.shueisha.co.jp/contents/w4u/index.html

 こっちも単行本出てほしいものです。

最高の兄妹をとくと見よ! 魔法科高校の劣等生2章+間章

 小説家になろうで連載されているweb小説「魔法科高校の劣等生」が電撃文庫から書籍化されることが決まったようです。書籍化としては一番良い形であるかなと個人的には思います。

重要なお知らせ - 佐島勤の活動報告

 どうやら出版分は加筆修正して、現状公開しているものは今後も掲載し続けるみたいですね。読み比べなども出来そうです。私はつい先日2章と間章を読み終えたところですので、今回はその感想などを。
 1章の感想はこちら その兄への愛情は如何ほどのものか―『魔法科高校の劣等生』読み中―

 基本的な感想は1章のときと変わらないのですが、今回は話の舞台が学校の外に出て、他校生が多数出てきました。ということは、前に書いた妹がすごいということが、他所の学校の生徒に伝わるというわけなのです。どうよ、深雪さん、すごいだろう。という勝ち誇ったドヤ顔をしながら読みました。そしてそうさせるための書き方が上手かったように思います。それは盛り上げの上手さにも繋がっていて、つまりとっても面白かったというわけです。

 さて、タイトル「魔法科高校の劣等生」の魔法科高校というものについて私は少々思い違いをしておりました。主人公の通う高校のことだと思っていましたが、普通科、理数科、などに対する魔法科であって、魔法科高校は国内に九校存在するようです。となると劣等生という意味もまた変わってくるのではないかと思いましたが、特に解釈は思いつきませんでしたので、学校内での成績は悪い主人公のことと捉えておきます。
 前回は主に、妹の深雪さんについて語ったので、今回はその主人公について語ってみようと思います。主人公はそのタイトルが語るように、劣等生としての立ち位置で登場します。入学試験や入学後の試験の実技において、彼は確かに低い成績でした。優秀な生徒を一科生、そうでないものを二科生とした学校の制度において、ペーパーテストではトップであったにも関わらず、二科生としての入学です。かといって、知識だけあって、魔法が全然ダメなキャラであるのかと言ったらそうではなくて、授業や試験においての魔法は低能でも、ひとたび実戦(形式)となれば、主人公に相応しく、あるいはそれ以上のいわゆる「厨性能」を見せるのです。
 理屈は無論作中で説明がありますが、私はこれを、ソフト的にもハード的にも天才的な知識があり、高度なプログラムはおろか、機械語を操ることが出来るのに、マウスさばきや、タイピングが異常に下手な人というような印象を抱いています。チャットしてると返事遅くて相手がいらいらするような人なのに、ひとたび作業をし出したらもうとんでもないものを作っているという感じですね。
 そんな主人公ですので、彼のことを劣等生と認識している人は作中に出てこないと言っていいでしょう。(二科生であることへのやっかみは存在していますが)それどころか、学生レベルの知識、技術ではなく、プロとしても最高レベルであると認識されつつあります。
 
 ところで、最強すぎる主人公ってあまり良いとはされてなかったのではないかという思いが浮かんできました。少なくとも説得力なく、また理不尽に主人公が強いのはどちらかというと作品上欠点ととらえられがちです。
 では、この作品ではどうかというと、まず理不尽かどうかに関しては、主人公には悲劇的な過去が隠されていることが挙げられます。悲劇があったから強いというよりは、強かったから悲劇があったという形のようですが(第4章が過去編のようですので、そこで詳しく語られるのだろうと踏んでますが、まだ読めていません)また血筋でもあるようですね。
 強さに説得力があるのかという問題においては、強さの表現が魔法の設定やその運営に依るところが大きく、つまりは作者の技量に直結しているので、主人公が凄ければ凄いほど、作者すげええとなっているような気がします。

 そうして主人公が何よりも最強であること受け入れた後に、妹、深雪さんを見ます。深雪さんは、最高に素敵なのですが、その最高さを演出する鍵になるのが主人公なのです。最高妹と最強兄でシスコンブラコン同士というコンビが期待を裏切らずに、活躍するのです。そして、この二人が、通う高校から、他所の8つ高校へ、と周知の幅を各段に広げるのが第2章でした。
 ハーレム物でもそういう面があると思うのですが、既に読者が周知しているキャラ魅力(あるいは展開)を新キャラが知っていくという図は非常に楽しいものがあります。上にも書きましたが、そこのところを作者がよく理解して書いてるのだろうなあ、という広め方でした。そしてただ単に広まって良かったという話ではなく、広まったことが悪い結果になるかもしれないという作りになっているのが、作者の技量を感じます。
 さて、次は3章を読むとしますか。

コミPo!体験してみた

 絵を描かずに漫画をつくれるというソフト、コミPo!の体験版をDLして、4コマを8本作ってみました。機能を体験することが目的でしたが、どうせならということで結構頑張ってみました。1本だけで勝負出来るネタは作れなかったので、8本まとめてピクシブにUPしています。よかったらご覧ください。


コミPo!体験版で遊んでみた


 体験版ということで、かなり機能制限されているとは思うのですが、それでも予想よりもかなり色々なことが出来て、非常に楽しい制作になりました。
 ただ当たり前の話ですが、漫画を描くのに必要なのは単純な画力だけではないので、コミPo!の恩恵を受けれた部分と受けられなかった部分はありました。
 私は今まで漫画というものを描いたことがなかったので、とてもよい経験になりました。体験版は3月いっぱいまで使えるようなので、もう少し色々遊んでみようと思います。
 製品版を買うかは未定ですが、買っても損しないで色々出来そうだとは思います。

範馬は誰にも理解されない―『範馬刃牙』におけるシリアスな笑いの考察―

 『グラップラー刃牙』『バキ』『範馬刃牙』と名を変え、長期連載してきたバキシリーズですが、通産900話を越える間にその評価も形を変えてきているようです。
 「最大トーナメントは最高だけど」とか「バキは死刑囚まで」と言われるのを聞くことは珍しくありません。
 特にネットにおいて、近年はネタ要素が取り上げられることが非常に多いと感じています。「ある意味面白い」であるとか、「一級のギャグ漫画」であるなどと言った、格闘漫画として真っ当ではない評価のされかたです。
 これは実際に読んでみると突っ込みどころが多数存在しており、また鍛え抜かれた表現力によって、面白味というものは確実に生まれていることがわかります。『バクマン。』で言われていたシリアスな笑いというもののひとつだと思います。
 ではそのシリアスな笑いと生み出す意図とは何かを考えてみました。


 まず、『範馬刃牙』におけるおかしみがどこから生まれているかを考えていきます。

 例えば、最新の245話「親子、接触す」において、範馬勇次郎が息子である刃牙の家をたずね、食事をするシーンがあります。
 その際、勇次郎が玄関で靴を脱ぐ描写があるのですが、1ページまるごとで描かれている分、家に上がるために靴を脱ぐという動作に迫力と妙なおかしみを感じています。ちゃぶ台の前に座り、あぐらをかく。軽く会釈しお椀を持って、味噌汁をすする。これだけの描写が絵的におかしみを生み出しています。
 私はここで、ピクルが立ち上がるときに「本来の機能に満たされた人体とは単純な動作ですらがかくも美しい」と表現されたことを思い出しました。勇次郎の闘争のための肉体は、日常動作すらおかしみに変えてしまうというわけです。


 またキャラクター性というものがあります。絵的に面白いだけではなく、範馬勇次郎が小汚い家で、座布団に座り、箸を持って味噌汁を飲むという、そのこと自体がおかしいという見方です。地上最強の生物であり世界一我儘な男(強さとは我儘を通す力!)が、食事の前に会釈したという事実。料理や食という場にしたのか、作った刃牙にしたのは定かではありませんが、そのことを刃牙が驚くように、勇次郎はそんなことをする人物であるようには描かれてきませんでした。今までの勇次郎像が強烈で強固であったがために、その日常所作とのギャップがおかしみを生み出しているわけですね。


 範馬勇次郎という強いキャラクター性を持ったキャラを生み出し描写し続けてきたこと、彼を表現するための肉体描写や所作の描き方が非常に優れていたこと。ネタとして笑えるという評価にも、これらの熱量があるからこその評価であり、馬鹿にしたものではありません。


 それでは、これらが生み出したおかしみは作品にどういう効果を与えるのか、面白く話題なるという商品的価値の他に、どういう演出足り得るのでしょうか。
 
 それは「理解されないこと」であると思います。
 刃牙は理解されませんでした。「世界一強くなりたいのではなく、父親より強くなりたいだけ」という思いや、「勝てそうだからやる、負けそうだからやらない」という認識、「父親への復讐、母の仇打ちではない」(これは途中での変化でしたが)、「ただの親子喧嘩」であり「決闘ではない」と、誤解を解くために刃牙は言葉にしてきました。
 徳川さんは彼らの戦いを世界最大のイベントと思っていますし、国家や自衛隊イラク派兵レベルの実戦であると認識しています。後者はそう頼んだ結果ではありますが、それも被害を出さないためにやむを得ずというものです。
 刃牙と勇次郎の親子喧嘩は、二人の関係は、誰からも理解されないのです。そして、それは読者からも同様なのです。
 勇次郎が出てきただけで笑ってしまう、彼らのやりとりをギャグだと思ってしまう、彼らの想いとは別のことを考え出す読者。そういう理解されない二人を、読者までも巻き込んで作り上げているのではないでしょうか。


 そして作中ではもう一歩踏み込んだ無理解が描かれだそうとしています。食事の前の会釈をする勇次郎を前に刃牙は、父親のことをちゃんと知ってはいなかったのかもしれないと戸惑いだしました。親子でさえも、知らない部分がある。そこに気づいた刃牙と、刃牙への恋を自覚し食事までしにきた勇次郎。今後、範馬勇次郎範馬刃牙がどう理解されていくのか、非常に楽しみです。
 バキは今でも面白いし、今だからこそ面白い。
 私はそう言い続けていきたいと思います。

その兄への愛情は如何ほどのものか―『魔法科高校の劣等生』読み中―

 「小説家になろう」というサイトがあります。私は名前だけは知っていたのですが、実際にアクセスしたことはありませんでした。小説を投稿するシステムがあり、感想や評価をつけることが出来るらしい、というイメージを持っているだけでした。

小説家になろう

 それがどんなものであろうかと試しに登録して昔書いた掌編を投稿すると、ありがたいことに幾つか感想と評価をいただきまして、なかなか活発なサイトであるようです。評価システムもなかなか面白く、文章評価とストーリー評価による点数とお気に入りに登録された数×2を足した総合点数でランキングが付けられています。その累計ランキング1位の作品をこのたび読み始めました。

魔法科高校の劣等生 作者:佐島勤

 評価やシステム内での感想は登録しないと出来ないようですが、読むだけなら未登録で大丈夫です。今回私が呼んだのは第一章・入学編でして、面白かったので続きを俄然読みたいところですが、ひとつ冷静になって自分の中で整理しておこうと思い何やら書いてみます。第一章の発表は2008年10月のことであるようです。そして上にも述べたように1番人気。今更私が何か言うことがあろうか、という悪い癖が出ますが、今更に立ち向かうというのを目標にしようと2つ前のエントリにて宣言したので、やってみます。今更に負けないというのは、読む見るすると行った受け取りの話だけではなく、ブログやツイッターなどで感想、レビュー、考察、雑談、などをするアウトプットにおいても当てはまることだと思います。


 一番最初に知ったのはタイトルです。そのタイトルには「魔法科高校」と「劣等生」という二つのワードがあります。どちらも目を引く言葉ではありませんし、どことなく古い感じもします。そういう意味では印象は良くなかったのですが、魔法を教える学校の生徒で、優秀ではなく、でもなんか特殊な能力がある主人公なんだろうなと思わせるという利点はあります。
 実際はどうだったかというと概ねその通りではありましたが、主人公は全然劣等生ではありませんでした。それどころか誰よりも技能があり、誰よりも知識があり、ものごとを見通す目があり、評価システムには認められなくても、誰もが彼を劣等生とは思わないでしょう。そういうわけで劣等生とは主人公を現す言葉ではないのかもしれませんし、"劣等"という言葉に何か意味があるのかもしれません。
 私が読んだのはまだ第一章だけです。ですので今後を読めば印象は変わるかもしれませんが、この時点での感想を書きます。


 まず世界観と世界設定、魔法設定が上手いですね。近未来を舞台とした科学発達と魔法の存在が公的に認められたことによる社会変化、そして魔法自体の構造が非常によく練られています。それを説明する地の文が結構多いのですが、わりと納得しやすく書かれていて非常に関心しました。逆に会話の描写は、誰が話しているのかわかりにくいところがあり、文自体は読みやすいと思うのがですが、少し難があるかもしれません。しかしとそれとは無関係に会話の内容自体は小気味よく会話を追うだけでも楽しさがありました。

 次はその会話を織りなすキャラクターです。中でも特筆すべきは妹でした。世の全てのキャラクターに言えるかもしれませんが、とくに妹キャラにおいては、お兄ちゃんすきすきーと飛び込んでくるよりも、黙ってしっとりと兄を見つめているような子のほうがより深い愛情を抱えているように見えることがあります。*1
 それではここに登場する妹はどうであったか。それがなんともハイブリッドでありまして、そのどちらをも有しているのです。ずるい! どう見ても主人公である兄のことが好きですし、それは周囲みんなが出会ってすぐに理解したところです。やばい、こいつ重度のブラコンだと誰が見てもわかります。常に兄と一緒に居たがり、兄に近づく女を警戒しています。兄をなにより尊敬し、兄を中心にものごとを考えているようです。これだけ兄好きっぷりを発揮していおいて、それなのに、愛情を発しきれないなんですね、この妹は。過去に大きいものを抱えているせいで、ホントは好き好きと跳びつきたいのに跳びつけないのではないか、そう思うとなんとも愛おしくなりますね。既に十分外に漏れ出ているのに、それでも推し量れないほどの愛情を小さな身のうちに抱えた少女……今すぐ兄になって抱きしめてやりたいところです。
 ところが、この妹の情愛を、主人公たる兄はなんとも……こう……もどかしい感じで受け取ります。鈍感なわけではなく、避けるわけではなく、受け止めてるようで流してるんですね。兄の感情はあまり読み取れませんでしたから、こっち側からどうなるのかはまだ未知数ですが、この兄妹の関係性は非常にすばらしいですね。1章は、この二人を追いかけるだけでストーリーがわかり、盛り上がるので、よく出来たつくりだと思います。
 他のキャラクターも魅力的だとは思うのですが、今は妹のことで頭がいっぱいなので省略です。

 最後にストーリーを……というところなのですが、先にも述べたとおり私はまだ1章しか読んでいませんので、あまり大きなことは言えません。キャラ紹介と世界設定を出しつつ、一つの火種を消化したというところで、主人公が強すぎてピンチ感に欠けたきらいはありますが、上手いことまとまって、今後に期待させる内容だったと思います。というか私は思いっきり期待しています。すぐにでも2章以降を読みたい気持ちを抑えてこれの文章を書きました。
 キャラクター小説として驚くほど秀逸なのに、SFとしての舞台と要素をギッチギチに見せつけなお、読みやすさを損なわない、魅惑の小説「魔法科高校の劣等生」を、今更を振り切って読みました。今後はチャンピオン以外にも書いていくつもりですが、今は先を読みたい気持ちで精いっぱいなのでここらで筆を置いて読みに行ってきます。

*1:私はBaby Princess開始直後から全姉妹を平等に愛すトゥルー長男です。全ての愛の表現を尊く思います。

週刊少年チャンピオン  2011年12号感想

 毎回、全作の感想を書いているわけではありませんが、書かない理由は様々で、一言では説明しにくいのです。そんなチャンピオン感想。


弱虫ペダル 渡辺航 RIDE.147 秒差
 見開き巻頭カラーの御堂筋くんは相変わらず人外でした。制御不能の闘争本能という煽りが付いていますが、古の神のような悪魔のような生物の封印を解いてしまった感じですね。恐怖!
 そんな御堂筋は、3校三つ巴の状態から4秒の差をつけました。前回のクランチを曲がるときに、4秒4秒と唱えていたので、想定どおりの決定的な差であるようです。その差に今泉君が再び精神の弱さを垣間見せますが、これはチームの作戦の問題であって、個人的な技量の問題ではないでしょう。そもそもがチーム戦、技量の問題であってすら、それがひとつのチーム。"心"をひとつにまとめて、ゴールに届ける戦いなのでした。金城さんはほんとにかっこいいですな。諦めない男は、諦めさせないことをも諦めないのです。


毎度!浦安鉄筋家族 浜岡賢次 17キンポ★おねつ
 顔はともかく、腕なんかはとても細く描かれてるのに、そのプニプニ感と来たら、極上ですね。1度目から1秒のやつ買えばいいのになどと思いましたが。


バチバチ 第86話/焦るな
 力士に必要な努力とは、力士に必要な肉体を作ることとは、猛稽古するだけでは足りない。食べて寝て、太ることが出来なければ、意味がない。というのはその通りなんですけど、そういうのは入門から新弟子検査受かるまでの間に言っておくべきことなんじゃないでしょうかとは思うものの一件落着……でしょうか。"三年後の稽古"というのは良い言葉であると同時に残酷な言葉ですね。そういえば、モンゴル出身の蒼希狼の特異性というものは結局なかったんでしょうか。負けん気が強いのは出てましたが、鯉太郎のほうの問題で片付いてしまいました。次の場所がどうなるのか気になります。


範馬刃牙 板垣恵介 第244話/来訪
 挑戦されるくらいの強さでは足りないと言った人がいました。ラブレターもらうようでは舐められている、美人は近寄られたらおしまいと言った人がいました。範馬勇次郎はそういう段階には既にいないとのこと。確かにしばらく戦いらしい戦いもしていませんしね。昔はみんなが対勇次郎を夢見ていたとか言われてましたけど。
 「この世に存在する全ての息子は父親と対立する権利を持ち、父親はそれを受ける義務がある」ときました。単純に親子間の問題に縮小したがる刃牙は切ないですな。勇次郎のほうも、強く育ったから、ではなく息子だから……という面も見えないじゃないですが。ラストの、"今宵――親父と 水入らず!!!"の語感は良いですね。七五調ってだけじゃなく、言葉が心地よいです。


クローバー 平川哲弘 第187話 ケンジ走る
 クソイケメンがクソすぎますね。そういえば芸能界に入るとか言ってましたね。じゃあ女遊びしてんじゃねえ! と言いたいですが、女遊びするために芸能界に入りそうな感じですからね、さすがクソイケメン! クソイケメンだけあって、男の人望はまるで内容です、さすがクソイケメン! しかし体勢を崩して倒れたメイちゃんは、頭を打ってそうでかなり心配です。大丈夫でしょうか。


囚人リク 瀬口忍 第2房 下獄
 ついに塀の中(島全体が刑務所のようですが)に入れらてしまったリク。その残酷で非道な扱いを、ほのめかすでもなく、冷徹に描き切るでもなく、普通にちゃんと描写するのが、逆に効果的に効いてきます。リクの絶望からの精神の復活のきっかけが、まんま復讐対象の存在のなのが辛いですね。早く、仲間が出来てほしいところです。ジャンルの問題かもしれませんが、ハリウッド映画的な印象です。


みつどもえ 桜井のりお 第222卵性「ふたばのアトリエ」
 ふたばがひたすらに可愛すぎて、泣き顔も驚いている顔も解決した後の顔も天使! そしてみつばを狙うしょうがない隊の目が怖いですね。いや存在が怖いんですが。


侵略!イカ娘 安部真弘 第175話・防犯訓練じゃなイカ
 侵略っぽいことをしてみたイカ娘に突然の良い話。そのときの驚きの表情が素敵でした。栄子はよく恥ずかしげも無くこんなことを言えるものよのお……。


てんむす 稲山覚也 第3話・結日高校食い道部
 天子が高校デビューを狙うようになってしまったのは、お前のせいか、幼馴染!! 男の子の性であっても、それで人を傷つけたのは許せられませんよ。そういう部分の救済はありそうなので、心待ちにしておきます。
 食い道部の部室として理科準備室を使っているので、夢のアルコールランプコーヒーが……と思ったけどお茶でした。そんなお茶を入れるマネージャー忍足さんは、金持ちという便利な属性と冗談好き人ということでかなりキャラを立ててますね。部内での一人男子ですけど、十分に目立ってきそうです。部長の立浪さんや、井端、荒木と何やら名古屋っぽい名前がありますが、部員みんなキャラがしっかり立ってて、可愛い女の子分は十分です。部活面では早々に全国大会という単語をだし、しかも何やら2年以上は思うところありのご様子でわくわくでございます。


ナンバデッドエンド 小沢としお 第111話 ラーメン一丁
 感動ですよ。感激ですよ。感涙……はしない性質なんですが、そう言いたいですよ。猛兄貴が、今の想いを全て剛に伝えて。二人が正しくわかりあえて。よかった……ほんとによかった。そして今からでも、って剛に言ってくれて本当によかった。この兄貴の発言は、先に手際良く働けていない描写があったからより生きている気もします。良い1話でした。名作すぎますよ。


スーパーバイトJ 沼田純 第37話・誰がために戦う
 まあスーパーの鮮魚売り場をみて、将来は魚屋さんになる! っていう少年はそうはいないでしょうね。というわけでヒーローっぽくスーパーを語るNJ。スーパーバイトJというタイトルがこれ以上ないくらいに完璧ですね。いつかこのネタするためのタイトルだったのでしょう。そう考えるとNJのキャラデザも、あつらえたように見えてくるから不思議な天パ。ミツイシさんかわいい。


モメンタム 濱口裕司 第4話/試合開始
 練習試合の相手、緑谷高校。その選手達は憎めない感じなんですが、それだけに宗介くんを馬鹿にした態度がわかりませんね。……と思ったんですが、単純に敵を馬鹿にするタイプでしょうか。変な話ですが、悪意とかは無いのかもしれませんね。どんな相手でもこういうふうに馬鹿にしそうで。バスケ描写にあまりスピード感がなかったんですが、どんなもんでしょうか。パス回しの特性上かどうか。


十字架とコイン 那須信弘 1c 邂逅
 新連載大攻勢第4段(集中連載)。雰囲気が好きなのはずっと言ってましたが、はたして中身はどうだったかというと、結構好きでした。完璧では無いにしろ好きな感じです。場面転換と回想が雰囲気とインパクト重視だったようで、一度読んだだけでは繋がりはわかりにくかったのですが、二度目はすっきりと入ってきたので、少し難ありってくらいでした。
 一話ということでストーリーはそんなに描かれなく、雰囲気とキャラと舞台紹介といった感じでしたが、今後どういう話になるかはだいたいわかりました。そりゃ短期連載になるなと思います。屋内で粉末銅をまいて酸素欠乏症に陥らせてからボコるというのは、治安の悪い場所で頭使うだけで生きてる感じがしてよかったですね。ライターつかないっていうのも伏線としてのさりげなさがいい感じでした。短期連載なので、こういうのが一度あれば物語全体に効いてきそうです。ただ主人公が特徴的な狐面を捨ててしまったのが気になります。一度限りなのかな…予告絵にも載っていたで今後も使ってほしいのですが。ともかく、かなりお気に入りました。期待!


ドカベン スーパースターズ編 水島新司
 斜め後ろからのホームランの構図は好きです。しかし……もしかして殿馬とマドンナがいちゃいちゃするだけの試合になるのじゃないかという疑問が生まれてしまいました。新人くんを応援できるような変革が起こればいいなあと思います。


聖闘士星矢LC 原作 車田正美 漫画 手代木史織 第216話 声
 ここ数週間、耶人たち聖闘士と自分(読者)が同じ立場だとか言ってましたけど、そんなわけありませんでした。気持ちは同じですけどね! なんとかしてやりたいと思ったらそりゃ飛び出し来ますよ彼らは。死の救済を望む声を聞き、正しさを見失ったテンマ。そんな彼に、何もしないでいられませんよ!!


ケルベロス フクイタクミ 第五十五刻 少年、少女
 うう……駄目です。こういうのに弱いです。もうサブタイトルからして弱いです。先週の段階で島田さんだけでもやばかったのに、みんなですよ。クラスみんながですよ。カラスの群れに立ち向かうのです。そしてみんなの心には景がいるんですよ。かっこいい形の枝がかっこ良すぎますし。肝心の景のほうはまるで打開の兆しがありませんが、みんなが大丈夫ならきっと大丈夫です!


ハンザスカイ 佐渡川準 第54話・吼えろ野良犬
 野田あああああああ。野田が吼えるのですから、私も吠えます。野田あああああああ。野田はスロースターターだったということで、精神的な問題だけでなく、すでに試合をこなしたがゆえの動きのキレであるらしいです。そういう選手は難しいですね。どこにピークを持っていくのか、1試合目にもっていくために準備運動を激しくするというのもありですが。調子があがり、ついには相手の技までこなしてしまう野田ですが、勝ちを意識してしまうと……自然とそういうオチになってしまいますね。残念。ところで、先週相手方の人はポイント差について考えていたので、負けたとはいえ、1点という差しかつけられなかったことは非常に大きいでしょうね。この差でチームの勝利……となるのも美味しいのですが、どうなりますか。


はみどる! まりお金田 49曲目:エメラルドの伝説
 藤岡田隊長が可愛すぎますね。防寒具はもこもことしていて可愛いものですが、それにしても可愛い。藤岡田隊長に好かれてるのはいいことですよね。ワカサギ釣りに本気の食材調達を求めるすずのさんが流石です。釣ったワカサギは全部湖に戻ってしまった感じですけれど。


シュガーレス 細川雅巳 Vol.53 俺自身
 戦いの最中に、食事をしてお腹いっぱいのマリモは、パワーアップして矢坂兄を倒してしまいました。ほんとに食べたら強くなってしまったので、これからマリモを倒そうというやつは如何に食事をさせないかを考えないといけませんね。綺麗事とかいらないと言うタイプの不良ですら食事タイムを待ってあげる世界では難しそうですが。そんなマリモは屋上から眺めていたシャケと目と目で会話をしたようです。先週の頂点目指す発言は、シャケからすると今までつれなかったマリモがデレたようなものですからそりゃ嬉しかろうという顔ですね。
 一方校舎内の卜部対周防も、外の流れに合わせて決着かと思いきや、まさかの二年、キリオ参戦。卜部の靴を持ってきてシンデレラ呼ばわりです。その前にちゃんと卜部の左足が裸足であることを意識させる描写があってさすがです。2年の1年狩りではキリオの担当はシロだったので、卜部との1対1のやりとりはなかったのですが、シンデレラ呼び一発でそのハンデを埋めてきましたね。(シャケにやられて、重なり合った仲ですし、そもそもハンデって何のハンデでしょう) それはさておき、キリオの語った他校者でも風車に手を伸ばしてたら同じというのはなかなか面白い価値観です。


ANGEL VOICE 古谷野孝雄 第185話/一気に!!
 おお……普通に決まりましたね。いや決めてもらわなければ困るのですが。しかしそのゴールが決まった勢いが、チームを不利な状況にするのですね。2対1と追いつきだしたところで、3点目を取られるとかなりやばいわけですがどうなるか。他人を思いやったり、相手の焦らせることを考えることが出来るコーイチさんも自分の高揚は抑えきれないようで……少しほっとしたのですが、そうも言ってられない状況ですね。次週が気になります。


木曜日のフルット 石黒正数 マリアの巻
 カラスのマリアさんというわかりやすいネーミングで登場した新キャラですが、確かに鳥、中でもカラスというのは街中で重要そうな動物ですね。重要そうといば、犬もそうですね。今回登場した犬に名前はありませんでしたが、再登場期待。そしてカラススタイルの鯨井先輩が素敵です。


 巻末コメントの平川先生「やっと上位になった。」ってこれだけしか書かれてないんですが、モンハンの一言も入れとかないと……と思うのですが、発売から2カ月以上たった今でも3人の作家が言及してることを考えると必要ないのかもしれませんね。さすがモンハン。
 来週は、新連載大攻勢が終わったと思いきや、また新連載が始まるようです。以前「とめがね」が掲載された八谷美幸「ましのの」だそうです。エロコメっぽい感じですね。とめがねからの復帰がかなり早いので人気だったのでしょうか。またさらし首3人衆も復活するとのことですが……真ん中の人(首)が違う!? と見せかけてあの人がこんな容姿になってるだけと予想しておきます。

まおゆう書籍版1巻を読んで-作品との再会について-

まおゆう魔王勇者 (1) 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」

 今更、というお話なんですが、まおゆう魔王勇者の1巻を読みました。購入自体は発売当初だったのですが、ちょっとばかし積んでおりました。感想はというと非常に面白かったわけなんですが、今回は感想とかレビューとかじゃなくて、ちょっと思ったことをつらつら書こうと思います。
 今更、という言葉でこのエントリを書き始めましたが、私は自分の未熟さゆえよくこの言葉にやられてしまいます。「今更、あの人気漫画を読み始めるなんてしたくない」というような感じですね。
 もともと掲示板上に書きこまれる形で発表されたまおゆうですが、私がその存在を初めて目にしたのは、既に完結し、絶賛されている頃でした。そして読もうとしたのは「絶賛されてるから読むのを避けたい気持ちはわかるけどもそれでも読んでみればわかる」というような声まで聞こえてきた頃で(もちろん否定派も多数いましたが)はっきりとは覚えていませんが2010年5月ごろだったと思います。
 2009年秋に発表されていて、既に巷で話題と言われるくらいになっていたのを見てということで、、十分に今更だったわけです。(まおゆうみたいな作品に興味を持ちそうな人にあらかた伝わった頃と言えると思います)そういう時は妙な心理が働いてスルーすることも多い私ですが、まあ見といてやるかなどと偉そうな態度でまとめサイトを見ることにしました。
 そして1スレ分を読み終わり、私はブラウザのタブを閉じました。

 読み物として面白いとは思わなかったけど、興味深くはあって、これを面白いというのは理解できるし、今後より面白くなるだろうことは絶賛してる人の存在からもうかがえるし、それだけのパワーはあるだろうと思う。しかしもう読まなくてもいいか。概ねこのような感想を私は持ちました。
 つまるところ、傑作だけど自分には向いていない作品だろうと結論付けたのです。


Togetter - 「「まおゆう」って何が面白いの?」


 ここでも語られているように、十分に楽しめるにはある種の素養が必要のようです。(もっともどんなものに多かれ少なかれ、最大限に楽しむために受け取り手に必要な要素というものはあります。それはあることを知っていることだったり、逆に未体験であることだったりするかもしれません

 そして私には、まおゆうを楽しむ条件が揃っていなかったのです。どのような条件があれば楽しめるのか、全てを挙げることは不可能だと思うので、ここでは私が、自分に足りないと感じた条件を挙げます。

 まず、2ch、特にVIP文化に触れていないこと。ネット歴はそれなりにありますし、無論オタクですので、書かれている表現がわからないとかノリが理解出来ないということは無いんですが、VIP内での「新ジャンル」や「二次創作SS」や「AAを交えたストーリー」などはまとめブログで存在を知ってはいてもまともに読んだことはありませんでした。それゆえに、内容以前の問題で、拙く見えたのです。

 次に、大学で経済をかじったこと。修めたとは口が裂けても言えませんが、とりあえず経済学部に席をおき、経済史、経済学史などにも少しばかり触れました。ですので、特に真新しいことが語られているようには思わず、近代化への道を既に知っている魔王をただずるいなと思っていました。

 最後に、魔王に萌えなかったこと。一番大事なところでもあるわけですが(笑)ひとつめの文化の話とも繋がります。魔王の可愛さは記号なのです。可愛いことを描写しているから可愛いとされるのであって、可愛さが描写されているから可愛いのではないと思っております。これは文化を知らないから拙く見える部分であり、また事実として拙い部分でもあって、それを受容する余裕が私にはありませんでした。キャラそのものよりも描き方の問題ですので他キャラについても同様でした。

 これらの理由に、既に絶賛されているものを今更読んだというマイナスのバイアスをかけて、私は物語を最後まで読まずに離れることを良しとしました。


 それが書籍化され、発売されたものを購入し、このたび読み終えて今に至るわけです。振り返ってみるに、どうして1巻を購入するに至ったのかが不思議なのですが、そこはなんとなくの縁がでした。アマゾンのカートにぽいぽい放りこんでる最中に紛れこんだとしか言えません。しかしこの縁というものはなかなか侮れないのです。世には無数の物語があり、多数の名作があるわけです。その中でどれを手に取るのか、というのは結構切実な問題だったりします。

 私は作品と出会う窓口が狭く「原作を知らないアニメは見ない」「既に人気のあるものは避ける」「人から薦められたものを流す」というスタンスが基本でして、3つ目は我ながら酷いなーと思うのですが、前ふたつも無駄な決まりでして、性格は悪いし損もしていると常々思っています。(それでも読み切れないほどの作品が世の中にあって嬉しい悲鳴を上げるのですが)
 そんな私が、まおゆうを最後まで読めそうなのは、ひとえに書籍化されたおかげです。ありがたやありがたや、ということが言いたかったのですが、そのために長々と書いてしまいました。
 ちなみに書籍化されてどう変わったのかというと、文章自体にわずかな加筆修正と、縦書き2段組みという形式になったこと、注釈が付け加えられたことなどがありますが、私にプラスに働いたのは縦書きだけでした。なので、今面白いと思ってるのは、もともとまおゆうが持っていた魅力をようやく私が受け入れられるようになったというわけです。

 まおゆうに関しては一度中身に触れて離れましたが、そうではなく話題作だからなどという理由で敬遠してる作品なども、一度離れてしまうと再びめぐり合う機会というのはそう多くなく、新装版や文庫など形を変えてでも縁が生まれたはというのは幸せであると思います。
 最初の出会いから仲良く出来たらもちろんそれがいいのだと思います。でも、一度仲違いをしたり、疎遠になっても、また仲良く出来るチャンスが与えられたとしたら、今更などと言わずに、また作品に触れてみるのも良いものであると思います。

 まおゆうとの二度目の出会いに成功したので、今後は失敗を恐れずにいろいろな作品に触れていきたいと思います。そういう自分に向けての決意表明でした。