週刊少年チャンピオン 2011年11号感想

 新連載が面白くてますます好調なチャンピオン感想です。


囚人リク 瀬口忍 第1房 極楽
 囚人リクというからにはリクくんは囚人である……はずですが、第1話は囚人になるまでの物語ということで、タイトルでネタバレされている感じのお話となっています。その意味では先が読めるわけですが、そこを丁寧に描き、しかもちゃんと読ませる力量があって、読み応え十分でした。予告カラーを見る限りもっと泥臭い絵かと思ってまして、また脱獄ものということで一般受けを心配していたんですが、スタイリッシュとは言えずとも読みやすく、きっちりと少年漫画していて問題無さそうです。
 隕石が落ちて、世界が一変したかというと、そうでもなく隕石の被害部分だけを隔離している世界観がいいですね。内部では色々と変化がありそうですけど、その辺りを脱獄アクションに交えてどう描いてくるかが楽しみです。


弱虫ペダル 渡辺航 RIDE.146 動く
 御堂筋のすごさ、が出ましたね。綿密な計画とそれを支える確かな実力。そして発想の奇抜さと現実にする実行力。そうして、初めて御堂筋の、京都伏見の大幅リードが描かれました。総北と箱根が競りながら追いかけるという図は新鮮ですね。内面はずっとそういう感じだった気もしますけど。それにしても、ラスト、遠く差をつけられた御堂筋を見て、脳裏浮かんだことの違いは面白いですね。今泉くんのメンタルに再び不安がよぎってきましたが、大丈夫ですか。


侵略!イカ娘 安部真弘  174話 催眠術じゃなイカ
 実際のところ、動物に成りきらせる催眠術って無理がありますよね。でも普段からしたいと思っていることになら効果はありそう……ということで千鶴にはなんとも効果的でありましたね。3人(+1匹)目であるから催眠術にかかったふりをする理由説明がいらないから理由説明が描かれてないわけですが、描かれてないからこそ別の理由があることがわかる上手い構成ですね。技術の勝利! 千鶴さん可愛い!!


みつどもえ 桜井のりお 223卵性「ミュージックアザーズ
 心霊CDを聞いて、まっさきにしんちゃんに飛び込むふたばや、周りがどれだけ騒ごうと意に介さず自分のペースを守った食事をするみつばなど、注目する点は多々あるわけですが、泣き慌てながら思わず松岡のさっちゃんを名前呼びしちゃったひとはですよね。 


てんむす
 エ、エロい……。いや、エロくは無いんですが、エロいです。なんというか客を呼び込めそうなエロスですね。いやエロくはないです。大食いを隠して高校デビューを企てる天子が可愛いですね。乙女心と食欲の天秤に揺れる……なんてエロス! いやエロくはないです。ただ可愛い女の子が欲と戦いながらヨダレを垂らしてるわけですね。大食いについての理論と、美味しそうに食べる天子、メリハリのはっきりした展開で、見事に入部までが描かれました。そうしながらも他キャラの魅力も出て来ててお得感がありますね。ページ数多い間に魅せるところをきっちり魅せてきた期待の一作です。


範馬刃牙 板垣恵介 第243話/親子愛
 きっちり現実に即して総理大臣が変わっていましたね。そうして前回の刃牙の頼みごとがきっちりと伝わっていて一安心です。


バチバチ 佐藤タカヒロ 第85話/たりねー…
 シゴキというものの扱いは難しいですね。体罰という側面は間違いなく存在していて、現代社会において全肯定は出来ないだろうと思います。大丈夫ですよ、とかドヤ顔で言ってる場合の話ではないはずなんですよ。もっとちゃんと身体のこと言ってやらないと駄目でしょうにと思うんですけどね。親方はそのために師匠と呼ばれるんじゃないんですか。
 鯉太郎の身体の性質の話と、相撲の制度文化の話を同時にしたのは、結構面白いですね。前者を乗り越えて精神的に余裕が出来るだけで後者を肯定出来そうですし。今回のはそういうの以前の問題ですけど。


ナンバデッドエンド 小沢としお 第110話 肉ベスト
 ヤサグレ&ヤクザ問題が解決して、白百合の仲間と会った剛。そして家族と普通に話が出来た剛。よかった……本当によかったよおおお。あまりのデッデエンドっぷりにハラハラどころではありませんでしたが、なんとか上向きに至れて本当によかったと思います。みんなの顔がいい顔ですよ。


ドカベン 水島新司
 新人冬木はかなり性格が悪くて、それを負けん気が強いみたいなフォローを必要とせずに肯定する清濁併せ呑む作品ですが、それでも主人公側の性格の悪いピッチャーと、相手側の男気あるバッターという描写が同じ話にあるとなんか妙な気持ちになりますね。


聖闘士星矢LC 原作 車田正美 漫画 手代木史織 第215話 結論
 馬鹿野郎ーーーーーーーー!!! という絶叫が書き文字になってますね。もうアローンはほんと馬鹿! 馬鹿馬鹿!! そんなアローンに送る奇蹟の拳が、しかし。ほんと作中における二人以外のみんなと心を一つにしてますよ。泣いて笑って叫んで。ああ、ああ。


ケルベロス フクイタクミ 第五十四刻 ただ、信じ
 どうしようもなくて大変な状況なんですけど、絶望よりは希望が見えます。あまりに強く守られることなんて考えたこともない友恵だから、自分ではわからないのでしょう。そこを金屋さんは、よく言いましたね。景本人の口からよりも効果的だったかもしれません。景本人は大変な状態ですし、冬子先生のことも気が気でないんですが、景の今までの努力の肯定があっていい感じです。


シュガーレス 細川雅巳 Vol.52 捕食者
 シロに敗れた弟、典斗を不様と切り捨てる矢坂兄でした。私はシュガーレスをかっこいいこと言えたら負けてもなんとかなる漫画だと思っているのですが、勝てないなら負け犬の遠吠えであるらしいです。自分がかっこいいこと言えないから言うそれこそ負け犬の遠吠えではありませんか、と思いながら、実際にケンカしてる彼らは負けてもいいとは思っていませんからやはり勝つべきなんですけど。そんな矢坂兄と戦うマリモは、初の苦戦中……と思いきや空腹により力が出ないらしく食事を始めてしまいました。そこを律義に待ってしまう矢坂兄も、原始時代には向いて無さそうです。そうしてマリモのシャケに勝って九島の頂点に立つ宣言が入りました。この周防・矢坂兄弟編に入って、シュガーレスの地盤が完成した感じですね。一番最初から完成していた岳はさすがの主人公です。


ハンザスカイ 佐渡川準 第53話・野良犬にも牙がある
 次鋒といえば、野田。野田といえば……ここらで負ける。主人公たる半座が勝って、野田で負けて、1勝1敗でさあどうなる、というような展開が多かった今までの試合です。それは漫画というか物語上のセオリーという面もあって、どうしてもそういう形になっちゃうことはわかります。なので、そこからの脱却という脚本上の話と、どことなく負けに慣れてしまった野田君の革命が上手いこと噛み合ってきました。(もっとも負けに慣れてしまったのも脚本の話ではありますが)それと、今まで試合では勝てなかった野田君が応援してた意味も積み重なって、野田フィーバーですね。思えば野田君は結城と比べて、不良・半座にナチュラルにビビってましたね。それだけ素直な子ですから、本当は負けたままで黙っていられるわけはないんですよね。野田ケン太劇場開幕ですよ!


スーパーバイトJ 沼田純 第36話・あぶない鮮魚部
 鮮魚部怖い!! 危険がいっぱいすぎて、NJの心身が危ないですよ。漫画家に大事な手への危険が多くてちょっとはらはらします。しかし、漫画家殺すにゃ刃物はいらないようで……。ミツイシさんが相変わらず可愛くて素敵です。


モメンタム 濱口裕司 第3話/練習試合の相手!?
 1話・2話のドラマがよかったところで、3話、練習試合が始まります。対戦相手は、宗介の最後の試合相手。しかし、相変わらず主人公名和は良いこといいます。「宗介君最後の相手じゃねーっ 俺たちの最初の相手だっつの!」この視点を一気に切り替える台詞、さすがに流れ(モメンタム)を変える男。来週から試合が始まりそうな急ペースですが、ここまでドラマを良い感じで描いてきてるので、試合がどう描かれるか楽しみです。


クローバー 平川哲弘 第186話とにかく謝ろう
 ケンジ……電車乗るから携帯の電源を切ったんですね。マナーの良さが、ここでは仇となってしまいました。イケメンの毒牙にかかってメイちゃんがえろひどいことになってしまう……と思いきやエロくなくただひどい方向も見えてきました。どちらにせよ、イケメンがしっかりとギルティになってしまいました。メイちゃんも疑いつつも結局家に行っちゃうあたりガードは弱いんですけど。


ANGEL VOICE 古谷野孝雄 第184話 乾のプライド
 監督の指示に反対してまで、仲間の感情面を気にしつつそれによって相手の感情までも計算するコーイチさんは、プレイ以外の面が高校生離れしすぎてますね。そして、やはり決定力に欠ける成田。さすがにここらで一発かましてもらわないと……。一対一になったら勝てるから、一対一にさせるためのプレイがあるわけで、そこをしっかりしてもらわないと漫画的にもしんどいのです。


キガタガキタ! 原作 つのだじろう 漫画 西条真二 第26話「不幸新聞」
 薄幸少女が不幸新聞に取り憑かれたということは、もともと幸薄かったんでしょうか。だから、こそ不幸新聞のフウコと仲良くやれてるのかもしれませんね。フウコも可愛いけど、薄幸少女夏川ちりが可愛くて好みです。今後キガタ戦線に参加してくるかどうかは未知数ですけど。


木曜日のフルット 石黒正数 頼子の巻9
 早菜ちゃん!! こう名前呼びがここでもきましたか。バレンタインを前に、女達が荒ぶっているのかあああああ。そう考えると設定を練り込んだてれ隠しなのかもしれませんね。



 来週は、新連載大攻勢第4弾「十字架とコイン」那須信弘が始まりますね。まがまがしい狐面を顔の横につけて、ダークシティ・アクションと銘打たれてますので、私が好きそうなにおいがします。期待大です。これまでの三作とも私的には良い感じなので、これも続いて欲しいところです。

週刊少年チャンピオン 2011年10号感想

 悩み悩みのチャンピオン感想。いつもと違うようないつも通りのような出来です。


みつどもえ 桜井のりお 222卵性[混入DAYS]
 しょうがない隊のバレンタイン用の食材は主に身体の一部です。それではここで、その制作過程をご紹介――されそうになって、慌てて止めるみつば。みっちゃんが髪をくくってリボンで止めてるのがもう可愛すぎてますね。そして血でチョコを妄想できるバイタリティ。一早い状況把握から適切な対策。みっちゃんが可愛すぎますね。それに比べて佐藤のやろうと来たら、今週は一部の隙も無くギルティ。おがちんに何してんだお前えええええええ。というか、話が進んでる間ずっとみっちゃんとおがちんのふとももに挟まれてたかと思うと、酌量なんぞしてやるつもりはありませんよ! オールカラーで酷い目にあってしまえ!


てんむす 稲山覚也 第1話・食せよ女の子
 (女子高生+方言)×大食い×部活。この解の最大値を想像します。そうして、この1話を読んだら……その通りのものが載っていました。パーフェクト! マーべラス! ファンタスティック!! これが新人だってんですからもう、よだれも出ますよ。めろーんですよ。
 競技としての大食い、食い道部所属の荒木遊。技術と理論で大食いをする彼女は、ただただ食べることが大好きな大食い少女、春風天子と出会う。新連載第2段は、可愛い女の子の部活ものでした。とてつもなくキャッチーですよね。連載予告絵ひとつで、上記の属性が好きな人が飛び付けるんですから。この設定があって、後は可愛い女の子が描ければ大丈夫、というくらいです。いえ、実際には女の子は可愛いし、食べてる姿が幸せそうで可愛いし、競技としてのハッタリは効いているし、素敵な人間関係が垣間見えるしで、言うことなしなのです。そしてキャッチーであるということは、人に勧めやすいということなのです。今ならみつどもえイカ娘の知名度もありますし、それを踏まえてチャンピオンに誘い入れてその全てを体感させてみるというのも良いのではないでしょうか。てんむす、期待通りの作品でした。


弱虫ペダル 渡辺航 RIDE.145 がまんの3メートル
 私は先週の感想の最後に()をつけて、予防線を張りました。逃げたのです。御堂筋が、またにょろーっと嘘やでーっとばかりにまだ本気出してないからアピールをし出したとしてもお見通しと虚勢を張ることばかりを考えて、漫画に真剣に向き合っていなかったのです。あんなに、みんな本気だったのに。私だけが本気ではなかった。そんな自分を恥じるばかりです。騙されたって良いのです。御堂筋も誰もみんな、勝つために走っている。そのことに、偽りはないのですから。京都伏見だって、いいチームですよ。そんな一話でした。


クローバー 平川哲弘 第185話 間違い
 イケメンは現状で女をヤリ捨ててる最低野郎ですが、それでもヤったときは同意の上だったろうということで、そこまで非難は出来ないんですよね。当事者以外は。イケメンがクソイケメンであることに疑いはなく、なんか罰が当たってすっきりしたいという思いはあるのですが、それを手っ取り早く実現する展開として、イケメンがメイちゃんにちょっかいをかけるもメイちゃんが毅然と断り、イケメンが逆上の上、メイちゃんに(性)暴力をしかけるという、イケメンを明確に悪に据え、メイちゃんを被害者にする方向が思いつきます。それをケンジなりハヤトなりが殴り飛ばすのが簡単ですよね。そんな図をぼんやりと思い描いているのは良くないですね。なので誰もが傷つかず、暴力もなく終わってほしいと望み始めています。
 そういうのとはまるで関係ない話ですが、ハヤトが良い奴過ぎたり、イチゴとサヤカが熟年夫婦すぎたりと、クローバーのイチャコラ具合は堪りませんね。


バチバチ 佐藤タカヒロ 第84話/俺だけ…
 太りにくい体質……力士として絶望的な問題を前に、鯉太郎は苦悩しています。今週はそれまで以前に、痩せた描写がなされているので、眠れない夜や食事の面で、ますます体重が落ちているのかもしれません。とりあえず鯉太郎に必要なことは気づくことと認めることだと思うのですが、親方や兄弟子がいない状態というのが響いていますね。そんな中マコ姉が現れたというのは、予想外の方向からの救いだったので、驚きですが、非常に的確なのかもしれません。マコ姉に任せれば解決しそうなほどの頼りがいがあります。マコ姉を見た瞬間にほっとし、すぐにそんな自分を責めるような顔をした鯉太郎は切ないのですが、ここは頼りなさいな。


侵略!イカ娘 安部真弘 第173話・休ませなイカ
 一部を手伝うという思考がなく、極端に走るのはギャグ漫画ゆえでしょうか。家事が生きがいでそのスキルも高く、強く、可愛い。千鶴はこんなにも素敵なのに、あまり悟郎のライバルがいないのは不思議ではあります。普通にしていれば怖くないですし。


範馬刃牙 板垣恵介 第242話/逞しさ
 互いに歩み寄ることによって互いに相容れない部分が明らかになり、どちらも譲らないから喧嘩に発展し、それがたまたま史上最強の親子だったからとんでもない親子喧嘩が始まる。それを望みつつも、範馬勇次郎を止めなければならなくてそれをするのは肉親の義務であると考える刃牙。その考えをまるで理解せず戦いだけに注目する徳川の爺さんはさすがですね。結局どんなマッチも、この二人の戦いには劣るわけですから当然なのかもしれませんが。
 一方、男子会でコイバナに花を咲かせる父親、範馬勇次郎。普通こういうこというと、比喩というか窺った見方なんですけど、本当に恋してるって言ってますからね。また夢まで語ってしまうあたり、若いですね。さすが成長し続ける男。その夢は、刃牙の言う、肉親だから止めるということと同一なのかもしれません。


ナンバデッドエンド 小沢としお 第109話 寒い夜
 タイマンで自分に勝ったら、全てを見逃すと言ったヤクザ梶原に勝った剛ですが、はたしてヤクザが仁義を通すのか否か。という先週の引きから緊張しっぱなしでしたが、仁義を通すというほど潔くもなく、けれども結果的に約束を守ったという個人的には好みな解決でした。ここまでやってきといて、梶原をかっこよく描かれても困ります。これで問題が全て解決して、剛が大検受けるなり、美術予備校に行くなり出来たらいいですね。


ドカベンスーパースターズ 水島新司
 スーパースターズルーキー冬木春太郎が好きになれる要素がひとつもなくて困りますね。大友剣のように態度が悪いことが明確になってればいいし、彼には憎めない要素が多々あったというか大好きなキャラですけれど、そういうのが無いので扱いに困ります。


モメンタム 濱口裕司 第2話/三人の物語!?
 非常に素晴らしい1話から、どう来るかと期待していたのですが、1話ほど好感触ではありませんでした。冒頭3Pに1話のおさらいが入ったからテンポに乗れなかったのが大きいかもしれません。それでも魅せるところをしっかり魅せてきて、引きこまれるのはさすがです。1話の最初で使った反則ダンクをもう一度、大きく使ったり、十字架や、審判が笛を吹かなかったことへの指摘など、主人公のそういう意味では魅せる場面があって当然の1話2話はよくても、今後魅せる場面が無い場面が気にかかります。またギャグの配分が今後の明暗をわけるかもしれないと思いました。
 1話のサブタイトルが二人の物語!?で2話が三人となってるわけですが、先輩達それぞれに宗介との関わりがあるんですよね。それが描かれるのが非常に楽しみです。そうして今ここに居る6人と宗介くん、7人の物語になるのかと思うとわくわくしますね。


ケルベロス フクイタクミ 第五十三刻 決意、の刻
 そういうことを言ってる場合ではないのですが、景をお姫様だっこして階段を駆け降りる友恵の力強さに惚れ惚れしますね。ケルベロスの絶望と希望の配分は絶妙で、その中で景のヒーローっぷりは本当に救われます。烏崩が人体乗っ取りを好む理由が明かされましたが、私が人体乗っ取りを好む理由は、冬子先生のドS顔が見れるという、姿だけでも普段と違うものが見れるギャップですね。ほんとこういうことを言ってる場合ではないのですが。


ハンザスカイ 佐渡川準 第52話・逃げんな
 「恥をかいたと思ったならそれを抱いたまま強くなりゃいい」「少々手荒だが抱いて生きていくにゃいい経験だったんじゃねーのか」結城の反則負けという結果に対し、完璧なフォローが入りました。普通にどちらが勝って負けたら、ここまで綺麗にはいかなかったかもしれません。この結末に拍手を送りたいです。そして、先鋒の、後輩の至らなさは先輩を奮い立たせる結果となりました。団体戦の面白さですね。勝って勢いを作ることも出来れば、負けて勢いがつくこともある。しかし、その先輩の相手は野田君。そろそろ彼も勝利を掴んで良い頃だとは思いますが、どうか。


シュガーレス 細川雅巳 Vol.51 アタマとココロ
 本当にシュガーレスには、上限がないのでしょうか。主人公、椎葉岳の影響を、シロ自らが語るとは。岳が雑魚を無双するのが椎葉岳劇場なのだと思っていましたが、ありとあらゆる面から椎葉岳がかっこいいのが椎葉岳劇場だったのですよ。もともとあまり言うほうではなかったのですが、岳を主人公でないと言った趣旨の発言を今後二度としないと誓います。これ以上なく主人公ですよ。


スーパーバイトJ 第35話・スリースターズイベント第2弾(後編)
 崩星フクイ先生の癖、机がかゆいからかく、というのは実はわかる気がします。自分にそんな癖があるわけではありませんが。梅田阿比先生までいたとこどんなに豪華なイベントだったのでしょう。こんな可愛い阿比先生と同じ空気吸ったとかどういうことですか、イベント参加者たちは。3star、3回目にして最後のイベントが近く行われますが、結局1回も行けずじまいです。イベントの性質上関東でしか開催出来ないので仕方が無いのですが。


聖闘士星矢LC 原作 車田正美 漫画 手代木史織 第214話アローン
 全てが圧倒的でどんな言葉もむなしいのですが「僕と魂で関わってくれ…テンマ!」「ああ! そのつもりでここまで来たんだ!!」というやりとりが、もう。二人以外は何も言えないのです。読者も同じです。


はみどる! まりお金田 47曲目:果てない空
 オールスター総出で、ユニットシャッフル話からのやっぱり今のみんなが一番いいというオチ。好きな話過ぎて、大変です。途中のどの組み合わせも全部魅力的なのがにくいです。いっそ6人組でやっていったらどうでしょう……と思ってしまいますが。


キガタガキタ! 原作つのだじろう 漫画西条真二 第25話「恋侍<後編>」
 悪霊に負けず劣らず性質の悪い人間達ばかりで、この世界はほんとに大丈夫なんでしょうかと疑いたくなりますね。聞くところによると古川くんにモテ要素は無く、恋侍も知らなかったのに、どうやって睨まれつつも女子の肩に手をませているのでしょうか。くたばってしまえばいいですね。


死神憑き 降る川光一
 第75回新人まんが賞受賞の読み切り。話の筋は悪くありませんでしたが、その他の要素は未熟でした。わりと今風でしたので、今後スキルアップしたら化けるかもしれません。
 葛藤し、変化する側の主人公と、頑張る側の主人公の噛み合いが上手く行ってたのと、目の下の模様という単純さで、死神の異質さを表現するというアイデアが、特筆すべきところでした。


木曜日のフルット 石黒正数 鯨井先輩の巻き21
 オトモフルットが可愛すぎて連れて行きたいのですが、ネズミにも負けるフルットでは……採取ネコですかね。


 新連載が二つ続けて当たりで良い感じですね。3つ目、囚人リクがそれに続けるか否か、楽しみです。

週刊少年チャンピオン 2011年9号感想

 ちょっと感想の書き方について悩み中です。特によかった数作について重点的に書くだけにしようかなとも思います。しばらく悩むので、書き方が変わるやもしれません。感想を書くことで自分と向き合っているので、作品数が多いとしんどいのです。


モメンタム 濱口裕司 第1話/二人の物語!?
 新連載。絵柄はとっつきにくいけど、中身は非常に真っ当なバスケ漫画になるだろう予感がしました。己の価値を教えてくれる人との出会い、そして唐突の喪失。その喪失とどう向き合うか。大事なものを失った二人の新たな出会い。いい感じのテーマが与えられたと思います。大事な人と、その人と共にあったはずの未来への弔いの形がぶつかっていくのでしょう。
 またバスケットの描写や、コマ割り、構図、演出といったネームの力もあり、骨太のかっこよさが紙面によく表れています。スポーツへの主人公の持つ特性が「良い流れ(=モメンタム)を呼び込める」という、ストーリーに直結した作りなのが上手いですね。そして第一話にしてその能力の説得力をきちんと描いたことが素晴らしいです。最高の第一話でした。不安点は絵柄(特に顔)なのですが、これはこれで慣れると癖になりそうな気がします。


バチバチ 佐藤タカヒロ 第83話/限界
 モンゴル出身の蒼希狼に、一度だけとはいえ稽古で負けた鯉太郎。何十番も取ったうちの、一度だけ……勝率から考えるとマグレと切り捨ててよさそうなものですが、鯉太郎は捨てておけないものを感じたようです。鯉太郎のライバルとして描かれている人は、みんなぬくぬくとは生きていません。自分が一番負けられない物を背負っていると思っていた鯉太郎が、自分だけが特別ではなかったのだと認識するエピソードもありました。学生ならいざ知らず、角界に足を踏み入れた者たちの覚悟は甘いものではありません。しかし、それをまとめて、生ぬるい国と斬って捨てる蒼希狼。国単位では事実なのかもしれませんが、個人を見るとどうでしょう。蒼希狼にも違った考えが生まれるのかもしれませんし、生まれずに己のままに進むのかもしれません。なんとも将来有望な同期達です。
 しかし、鯉太郎の前に立ちふさがったのはモンゴルの狼だけではありませんでした。それまで少し格が下であるように描かれていた田上にも、勝てなくなってしまいました。その理由は、体格。以前にも触れられていましたが、鯉太郎は太る体質ではないようで、真っ向からの押し相撲では勝てないことが浮き彫りになってしまいました。とはいうものの、どうやると負けて、どうやると勝てるのか、という悩みを繰り返して自分の取るべき相撲の形が見えてくることでしょう。暗くて周りが見えなくとも、そこはトンネルであるのです。


弱虫ペダル 渡辺航 RIDE.144 最終局面
 2日目ゴールまで、残り3km。各校アシストがエースを引っ張り、0.1秒でも早く、0.1mmでも前に、ただただ全力で。主人公校もライバル校も悪役校も何もない、純粋なスピード勝負の1話。全員が強者、そこに弱虫はおらず、勝者を決めるためだけの争い。今までの御堂筋の走りとは、強者と弱者をわけるための走りだったのでしょう。相手の心を砕き、弱者に落としてから確実に勝つ。それが今、強者を強者のまま戦い勝とうとしています。今泉や新開の克服した姿と共に、思考する余裕もなくただ走る御堂筋も見逃せません。(来週にあっさり御堂筋に騙されるのもまた一興ではありますが)


侵略!イカ娘 安部真弘 第172話・集中しなイカ
 宿題の終わらない栄子。分量や難易度よりも集中出来ないことのほうが問題であるようですが、そもそも勉強する気が起きないですし、夏が終わらないことを感じ取っていそうな栄子ですので、宿題を終わらせられないのも仕方がないのかもしれません。そう擁護したくなるほどに、駄目人間すぎる栄子でした。


ドカベン スーパースターズ編水島新司 
 微笑の広島移籍騒動に決着。カープと微笑の明日が繋がっているとしたら、あまり微笑ましくない結果となった気がします。広島でホームラン王! というような活躍にはならないのかもしれませんし、日本シリーズに出場できる可能性から考えると今後の出番も危ぶまれてしまいます。いつの日か、彼らがまた同じチームとなる日は来るのでしょうか。1試合が長い分、合間の展開は一気に飛ばして、次はオリジナル対決。オリジナルキャラクター路線はまだまだ続くようですが、よいことだと思います。



範馬刃牙 板垣恵介 第241話/最速と最強
 ボクシング界の頂点、ウィルバー・ボルトとは、元陸上の短距離選手であったようです。名前でなんとなくそんな気はしていましたが、オリンピックで100m世界新を叩きだした、あのボルトであるようです。ボクシングとは大地を蹴る格闘技であることから、世界最強の脚力から生み出される一撃は如何ほどのものなのでしょう。実在の人物をモデルとするキャラクターは格闘技者から政治家やコメンテーターに至るまでさまざまな人物が描かれてきましたが、こうきたかああああああ、と度肝を抜かれましたね。迫力と、想像の外の面白さ。烈との戦いが見たいのかというとそうでもないのですが、このボルト自身がどうなってるのかを非常に見たいのです。
 一方場面は変わって、オーガこと範馬勇次郎氏は、食生活を咎められたときの一人暮らし独身男性のような言い訳をして、読者を和ませてくれます。戦場生活が長かったら料理は作れるようになるのでしょうか。それはさておき、刃牙から向かうのではなく、両者が歩み寄ることにより戦いが始まるというのは、非常に象徴的である気がしますね。象肉のステーキとご機嫌な朝食の距離が埋まったとき、物語は始まる!


みつどもえ 桜井のりお 219卵性「飼い猫オーブーラン」
 みっちゃんのお腹が膨らんでいるのはポケットに手を突っ込んでいるからだ……と一瞬思ったのですが、手はコートのポケットにあるので、内側は膨らみませんね。さすが雌豚腹囲。しかし、その腹囲がいつもと違うことに気づくひとはの、呆れと心配のない交ぜになった表情がいいですね。しかし男子達が、猫語尾に反応するとは以外でした。どちらかと言えば、否定しそうな感じなんですけどね。


シュガーレス 細川雅巳 Vol.50 最後尾
 「立ち上がることに意味があるんだよ」シロは言いました。一度負けた相手でも、立ち上がれば次はわからない。一年最強だったシロと、威勢の良さだけが売りだった岳。実力の差は明らかだった二人が、引き分けという結果に終わったのは岳が立ち上がったからでした。二年の一年狩りによって奪われたヘッドフォンを取り戻せたのは、シロが立ち上がれたからでした。
 「結果なんて立ち上がってからじゃなきゃわからない」実力差がわからないと言われるシュガーレスですが、この思想の元描かれているからかもしれません。一度負けても立ち上がりさえすれば、次負けるとは限らない。そもそも彼らがしているのはルールもないケンカなのです。常に同じ状況での勝負はなく、立ち上がりさえすれば状況は変化します。だから彼らの力関係は刻一刻と変わっていくのだと思います。
 それはそれとして遅れてきた主人公、行列の最後尾の椎葉岳にスポットを当てるべく大勢の雑魚が登場しました。この漫画に関しては負けても立ち上がればいいし、かっこいいこと言えれば倒されてもいいと思っている私ですが、それでもやはり活躍はしてほしいのです。周防や矢坂兄弟という個人はいますが、今回の話は、九島VSそれ以外という構図ですので、雑魚相手の椎葉岳劇場も楽しみです。頑張れ主人公。


ハンザスカイ 佐渡川準 第51話・ふざけるな!
 空手をしているから不良なんて怖くない……そう思ってた時期が結城にもありました。しかし半座の喧嘩を目撃したときに、彼の中で何かが壊れました。その壊れたものを直視せず、他を鍛えることで無かったことにした結城。より厳しい稽古を積み、トラウマを忘れることに成功していました。半座と再び出会うことさえ無ければ、彼は上手く行っていたことでしょう。しかし、半座を前にした結城は、彼を攻撃をしてしまいます。不良だった半座を悪く思う気持ちはよくわかります。しかし読者としては、いざその過去をひも解いてみれば逆恨みだった、という思いは否めず試合でどちらが勝って、互いを認めるという落とし所では満足できないだろうと思っていました。そこに、今週ラストの一発です。今後の描き方次第ですけど、結城がただしく自分に向き合うにはこれしかなかったのかもしれません。半座にビビったことも、半座が空手に真面目なことも認めても認め切れなかった結城。試合前に半座にケチをつけたことからも、己の真の弱さに立ち向かってほしいです。次回、期待!


ケルベロス フクイタクミ 第五十二刻 凶鳥、麗し
 崩は、物質を用いて体を作る。烏崩がその物質に選んだものは、冬子先生でした。化けているわけでも取り憑いているわけでもなく、冬子先生の肉体が、すでに崩となってしまいました。狗骸への不信感から、戦う力を失った景に襲いかかる、残酷な事実。それでも、それでどうにかなるわけではなかったとしても、友恵が来てくれたことを嬉しく思いました。新たな犠牲となろうとも……景をあの状態から救えるのならば。いや、やっぱり犠牲は嫌ああああ。


スーパーバイトJ 沼田純 第34話・スリースターズイベント第2弾(前編)
 12月に行われたイベントのレポ。イベントというか、沢編集長漫画になっています。サンタ服の初老! ツイッターで初老と呼ばれたことにショックを表していましたけれど。


ナンバデッドエンド 小沢としお 第108話 やっちゃった
 タイマンして勝ったらみんままとめて許してやるよと、言い出したヤクザに対し、当初手を出せずにいた剛ですが、相手の理不尽な言葉に反応してつい、やっちゃいました。一発KO。タイマンとしては決着がついた形ですが、ドスを手にしたヤクザがどう出るか、ですね。仁義通すようなキャラにも見えないので、不安です。


クローバー 平川哲弘 第184話 お幸せに
 ショックを受けたからといって、3日も学校を休んで鳩に餌をやるケンジ。凹み方が、若くない……。ハヤトはやはり仲間思いですので、行動に出ました。相手のメイちゃんがイチゴが通っている高校ということは、ハヤテのとる行動は一つです。久しぶりの、イチゴ母の登場です。相変わらず、お美しい……!


はみどる! まりお金田 46曲目:デリケートに好きして
 3人とも、掃除姿が可愛いというか、働くための格好が似合いますね。いつもそうですが、今回は、3人もせりかもののかも、全員がとことんまで可愛いお話だと思います。顔やポーズや、服装といった改造もそうですけれど、それぞれの感情がほんとによかった。はみどるも、ほんと話を重ねるごとに、面白くなっていくので、楽しみです。


聖闘士星矢LC 原作 車田正美 漫画 手代木史織 第213話 答え
 最初の見開きが、もう宗教画のようです。描いている内容もそうなら、その絵自体が、もう神話的であります。「君の声も拳も届かない」と、アローンはかつていい、ここでまた言いました。しかし、テンマは叫びます。お前の声が届いたと。テンマは手を伸ばします。アローンを一人にさせないために。そもそもアローンは名前からして一人であるので、全てはこのためにあったのですね。「お前を殴れんのはもう俺だけだ!」 ああ、テンマ。君はほんとに美しい。


たまたまポンチー 山本康人 全8話
 思うところあって、感想をまるで書かずにいたのですが、短期連載が終了したということで、何かを書いてみます。14歳という色々抱えたお年頃の少年の前に、チンポの妖精が現れ、主人公のエッチな願いを(あんまり望まない方向に)叶えていく――。よくよく考えたら、先週まで載っていた短編「ノベルゴッド」と被っていたのではないでしょうか、チンポだけに。とかね、こういう下品なことしか言えなくなるから感想も控えていたのです。冗談です。私はエロは歓迎しますが、下ネタはあまり好まないので、この作品とは相性が悪かったのでしょう。青少年へ、性の欲望を持つことは間違っていない、というメッセージもあったのでしょうか。設定だけでは3〜5話がいいとだったと思いますが、途中のポンチー人間化のインパクトは見事でした。8話、単行本1冊分として丁度よかったのだと思います。単行本広告ページで、ショウチャン(チャンピオンコミックスの背表紙に載ってるヒゲ帽子)が「いい脱ぎっぷりだね!」と言っているのが面白くてたまりません。


ANGEL VOICE 古谷野孝雄 第182話 能力
 サッカーボールを40メートル以上、ライナーで投げるとは、さすが日本代表のキーパーを守れるとまで言われた男ですね。身体能力テストでよくあるハンドボール投げでも、40メートルは結構厳しいものです。体格、身体能力、運動神経、全てに恵まれたヒサシ。身長の低さをカバーするための努力で誰よりも上手くなった松田とは対照的です。しかしそこで、よりやる気を出す松田は精神も強いですね。松田に限らず、習志野実業の選手は皆、落ち着いている――と思いきや一人だけそうでもない選手がいたようですが、はてどうなるか。楽しみです。しかし、シンゴはいい加減ルールを覚えましょうよ。


キガタガキタ! 原作 つのだじろう 漫画 西条真二 第24話「恋侍<前編>」
 いきなりでかい鬼が現れ、その前で正座している二人に吹きました。なんだこのシュールな図。前回2話を使って首さんの好感度を上げたので、今回は吹石さんのターン! 鬼であり、侍であるガチ戦闘系の悪霊がやってきました。鬼形がどうなってしまうのか……よりもヒロイン吹石さんの性質の悪さが目立つひどい漫画ですね!(褒め言葉)



鏡の国のアニー 重本ハジメ
 読切。鏡の国から絵本作家を志す少女を見ていたアニー。才能の無さに悩み、夢を諦めようとする少女に、何か声をかけたくて、思わず世界を越えて少女の前に姿を現してしまったアニーだが、それは異世界のルールを破った許されない行為だった。
 という風に、少年漫画よりは児童文学チックなファンタジーという印象ではありますが、話の筋からアクションまで少年漫画として大事なものがしっかりと描かれており、熱い心や夢をかなえる力が気持ちよく入ってきます。絵は、少し垢ぬけない感じがありますが、それも含めて非常に素敵な漫画です。
 鏡という設定があまり上手く使われていないところとがわずかに気になった点ですが、演出上としては鏡も利用されており、最大限よく練られた漫画であると思います。作者の今後の活躍に期待するとともに応援していきたいです。


 来週、というかもう明日なのですが、新連載で一番キャッチーな「てんむす」が開始します。可愛い女子が食べるということで期待です。そしてみつどもえはオールカラーということで、わくわくが止まりません。来週はもう少し早く感想を書けたらと思います。

週刊少年チャンピオン 2011年8号感想

 AKBっていっぱいいるんだなあと当たり前のことを思うグラビアの日々です。そんなチャンピオン感想。なんだか長い間してなかったような気がしますね。事実ですね。

表紙
 まずはこちらを見ていただきたいのです。もうおわかりですね。シャケえええええええええ。シュガーレスのシャケが表紙を飾っているわけですが、もうシャケえええええええ。事前にこの画像を見たから助かりましたが、店頭で初めてこの表紙見てたらえらいことになってましたよ。


シュガーレス
 そんなシュガーレスが巻頭カラーであるわけですが、このカラーもまた素晴らしい。横並びという構図自体は前もあったわけですが、岳、マリモ、白、卜部、キリオ、シャケと並んだ絵がもうかっこいいのです。キャラそれぞれが魅力的もありますが、それぞれの表情とか佇まいとか服装とか、全部が彼らを活き活きと表現しております。がっくんは赤い服だから主人公が確定しました。よかったね!
 さて、内容のほうでありますが、九島を落とす競争をし、九島に乗り込んできた矢坂兄弟とこっそり忍び込んだ周防。それを生徒総出で迎え撃ってる最中なのですが、マリモが、三田さんが、卜部が、九島の生徒みんながもうかっこよすぎて感動ですよ。「拳は暴力のための道具じゃない」「暴力ごときに負けるやつは九島(ここ)にはいない」そう言うマリモを立ち上がるみんな。ああ、みんなかっこいい! と最高潮になったところで、その存在だけで全てをもっていくシャケ登場。喋らずに、高みに居るだけで全てを統率する王のようです。その王に報いる忠誠は、誠実に九島の頂点を狙うことですけれど。最高潮からシャケ登場による上があるのだと思い知らされたところでシロが復活。鼻をパキられてから行方不明だったシロが! どうやら鼻が折られてから作中時間はほとんど経っていないようで、曲がった鼻のまま一矢報いるシロ。弟VSシロ、兄VSマリモ、周防VS卜部という構図が出来上がりました。
 1周年カラーに相応しい、最高の1話でした。いや、最という言葉がむなしいほどに、まだまだ上があることを予感させる素晴らしい1話でした。今回、九島の頂点であるシャケの思想がこれでもかと表現されたわけですが、もうひとつ、主人公たる椎葉岳の思想というものも描かれたのではないかと思います。"暴力を否定"して"立ち上がる"という話だったのです。椎葉岳が九島に与えたものというのは決して小さいものではないだろうと私は思います。肝心の主人公が登場しないから考えた詭弁ではなくて……なくて。


弱虫ペダル
 インターハイ二日目ラスト、エースとそれを引っ張るアシストの闘いの場に、3校6人の中に、強者たちに混ざる、たった一人の弱者。弱虫ペダルの名が誰よりも相応しくなってしまった、弱泉と呼ばれた、あの今泉が……今泉が立った!! 今泉くんの精神を救ったのは、やはり金城さんでした。(+坂道) 金城さんは何歳なんですか。何年生きたらそんな大人になれるんですか。かっこよすぎて困ります。そうして弱者を引きずり下ろすのに失敗し、ついに全てを金繰り捨てた御堂筋。二日目にして全力と全力の闘いに!
3日目が最初から最後までこうした全力と全力の闘いであることを望みます。どんな争いになるのかとても楽しみであります。体調不良にしろアクシデントにしろ怪我にしろ、全力を出せないというのは不幸ですので、3日目は本当に全てを賭けた闘いがいいなあと思います。あと、御堂筋が総北のことを王者に類するものと評したのが、嬉しいです。



バチバチ
 名古屋場所序の口優勝力士は、今までまったく描かれなかったモンゴル出身の蒼希狼。現在の力量でいうと、村神や鯉太郎や石川のほうが高いけれど、特筆すべきはそのハングリー精神なのでしょう。現在の相撲でモンゴル人は避けては通れないので、これからどうなるのか楽しみです。村神の名前間違えるネタは、"鮒太郎"はともかく、"山本"ってどこも合ってなくて石川の名前が消えうせてしまいました。面白い。


ハンザスカイ
 強い奴と戦うのが楽しくてたまらない半座が良いですね。相手が強いから、自らが成長できる。もちろん成長の土台は日々の稽古と教えにあるわけですが、それが花開くのはやはり実戦なのでしょう。戦うことと自己の向上を楽しむというスタイルは見ていても楽しくなります。


範馬刃牙
 冗長さ、というものはバキの欠点であるでしょう。ストーリーで考えればそれを否定することは出来ないかもしれません。けれど熱量という意味においては、そうであるとは言い切れないと思います。そんなことを思わせてくれる一話でした。KO勝ちしたものの表情は晴れない烈。ボクシングから逸脱したことへの後悔のように読み取れますが、でも上位では使う予定だったというのだから、本気出しちゃった……くらいの感じで良いとは思うんですよね。真面目だけど、どこかズレてる烈。コーチはもう、叫んでリングに上がって烈に飛びつくとか、ヒロインですね、この人。そして次なる相手になるだろう、チャンピオンが現れましたが、烈さんを"イエロー"と呼ばれてもピンと来ませんねえ。その肌トーンからも烈さんは真っ黒というイメージなので。


ハナコの○○
 webからの読み切り。個人的にはもともと好きな漫画家さんが描かれているのもあって好きなんですが、webの中ではあまり話題にならない作品である気がします。しみじみ面白いんですけどね。語りにくいのはあるかもしれません。この読み切りにしても……いや、面白いんですよ。しばらく炭酸を飲んでなかったので飲みたい気分になりました。


ケルベロス
 心温まるカラーすぎてページをめくるのが怖かったですね。めくった先に死体が転がっててもおかしくないですからね。人体が分割されててもおかしくないですからね。と思いきや、冬子先生の胸が強調されてたりしましたが、同じコマの景の後ろ側には不穏な影があるので油断はできません。というかこの漫画に油断出来る隙なのありはしないのです。しかし冬子先生はもうショタコン女教師として完成され過ぎていて、どうして幸せなショタコン生活が送れないのでしょうね。悲しすぎますもっとやれ。


みつどもえ
 テーマは"女子力"。宮下は女子力無さ過ぎるというか若干人間力が怪しいところですね。何事が起こったのかわかりませんでしたよ、最初。いや、今でも疑ってます。なんで友人の家で裸になってドヤ顔してるんですかこの人……。露出狂とか痴女とかそういうジャンルじゃないもん……ほんと何が起きた……。未だに混乱さめやらぬ私です。丸井家が出てこない話という話なのに、いや、三つ子がいないからこんなことになってしまったのですが。ただこんなに将来も現在も過去も心配な宮下さんでも自分の服をダサいと言われてショックだったのは安心しました。その気持ちだけで大丈夫だよと言ってあげたいですね。ダサいダサくないっていうのと自分が着たいかどうかはまた別問題なので、杉崎もそこまでショック受けなくても……。


侵略!イカ娘
 まさかのコタツ、鍋、防寒具。常夏でもこういう話が出来るんですねえ。やはり冬っぽい格好は新鮮でした。「体感的に3年くらい夏が続いてるような暑さ」って栄子はたまにこういうメタっぽいことを言う。


クローバー
 メイちゃんだめええええ。そこでそのイケメン(の周り)に反論しにいくのは駄目えええ。それは罠です。反応したら負けですよ。まったく話題を提供してしまってるではないか。まんまとイケメンの罠にはまりおってこの小娘は。いや、メイちゃんは何も悪くないんですけどね。小娘でもない良いお嬢さんです。ケンジの気持ちは痛いほどわかります。恋愛ごとに対して自信なんて持てませんよほんと。


スーパーバイトJ
 店員と一発でわかる服装最強! ほのぼの家族漫画の図が幸せ過ぎて困る。アニキがかっこよすぎて、どこまでもついていけるぜ。アニキの何がすごいって、明るいお母さんとか、きびしいお姉ちゃんとかって形容詞無しに、"アニキ"という言葉ひとつで十分なところじゃないでしょうかね、アニキ。それはさておきイナゲ主任の「マンガ大変って言ってなかったっけ?」という突っ込みかつ心配するとう芸当がほんとにね。もう主任大好き。でもお姉ちゃんであるミツイシさんもね。平然となじられたいですからね。


ナンバデッドエンド
 ヤサグレ状態から立ち直れた剛ですが、ヤクザ問題はこれからが本番です。普通に殴り合って終われるのかどうか……どう収拾がつくのかわからなくて予断を許さない状況です。ヤクザとケンカの強さの関係というのは実はよくわかりません。


ANGEL VOICE
 ヒサシは大きいですねえ。そういう表現ではありますし、キーパーとしての実力の高さもあって、そう見えるというのはわかるんですけど、大きいなあ。エンジェルボイスのナレーションは効果的で、「所沢の怪腕を見る」と出て終わると次週への期待が大きくなります。リズムを作るのはディフェンスから、ですね。



はみどる!
 帰りてぇって小さく縮こまるコマが可愛い。暇つぶしでやってた組体操の成果も、番組で発揮されてよかったですね。今回、描かれたことは全部オンエアされたようですし、強欲でもなんでもよかったんじゃないでしょうか。滅茶苦茶目立ってますよね、これ。


聖闘士星矢LC
 運命の最終決戦に相応しい、息つく暇のない描写。"救済"のために"哀しみ"と"死"を求めるアローン。まさに神々の闘いです。テンマもサーシャもかっこいいから、三人とも笑えると良いんですけどね。


キガタガキタ!
 悪霊を出し抜くときのキガタは本当に楽しそうに笑いますねえ。盗んでなくても放火してますよ。首さんはキガタのズボンがずれることに対して喜んでるんですね。


走×シャトル
 第75回新人まんが賞入選作の読切。中学のとき同じハンドボール部だった運動神経抜群(しかも左利き)の先輩が、高校でバドミントン部に入ったことを思い出しました。その人は高校からだけどわりとやれるって言ってました。大学ではまたハンドボールをやってたのでどれくらいやれたのかはわかりませんが。
 面白かったですし、新人であることを考えたらレベルは高いと思いますが、主人公に不満がありました。主人公の表情については講評でも述べられてた気がしますが、主人公の内面が伝わってきませんでした。また動体視力や先読みといった能力と名前である"走(かける)"あたりのズレも気になりました。"力の開眼"にもっと焦点が当てられたほうが良かった気がします。どちらも読切としては中塚を描き過ぎたせいの分散だろうかと思います。そういうわけで是非とも連載を読んでみたい漫画家の誕生でした。


出陣!!ムショ高排球軍
 最終回。なんとも残念ですけれど、描かれた悠生の高校との試合は、本当に見事なものです。この試合をもっともっとちゃんとした形で見たかったと思います。2巻以降の単行本は出ず、yahooコミックスと携帯用のHANDYコミックで配信とのことですが、……やっぱり単行本欲しいですよ。


ノベルゴッド
 3話使ったにしては、やりたいことが描けているようには見えないし、そもそもやりたいこと自体がはっきりとしない残念な出来でした。「悪意を持ってその人が望まない方法で願いを叶える神」というネタは良いけど、話にまで昇華することが出来なかった……というところだと思います。ネタだけで話が生まれる思いつきでは無かったという意味で、力量にあってない話だったのかもしれません。


木曜日のフルット
 ネズミに負けるフルット……。さすがとしか言えませんね。逃げられたじゃなくて負けたってアンタ……。しかも特殊部隊の耳と目はたいして役に立ってないので、フルットはほんとにもう。



 次号から新連載が連続で始まるようです。次号からのバスケ漫画「モメンタム」の濱口祐司とは以前「Can You(勧誘)?」という読切を描いた人のようですが、タイトルは覚えていても内容を覚えていませんでした。その次の「てんむす稲山覚也佐渡川先生のアシスタントだった人のようですね。「囚人リク」の瀬口忍は「劇画マッドマックス」や「たのしい幼稚園」などで描かれていたようでどんな漫画なのかさっぱり読めません。劇画マッドマックスって表紙しかわかりませんけど快楽天とかよりも児童誌から遠い雑誌な気がするんですけど。4作目には集中連載の「十字架とコイン」那須信弘。2007年以来の登場ですけれど多重人間バニシングツインは私がチャンピオン本格的に買い始める直前の時期だったようです。なので未読。去年の新連載陣の予告を見たときのときめきはありませんが、どうなるのでしょう。楽しみです。
 予告イラストの段階で私が一番好きになりそうなのは「十字架とコイン」で、一番成功しそうなのは「てんむす」です。はてさて、期待。

チャンピオン版このマンの結果が出た!

 ブログ「漫画脳」のササナミさん企画のチャンピオン読者が選ぶ!このマンガが面白いぞっ☆2011の結果が発表されました。知らない漫画を知る、あるいは知ってるけど手を出すまでには至ってなかった漫画に手を出す良い機会になりそうです。ササナミさん、本当にありがとうざいました。


秋田書店編
 私自身はこの部門には参加しておりませんが、その分一番フラットな目で見れるので一番楽しいかもしれません。1位は納得と貫録というか堂々の! ってところですね。そしてこれだけは言わねばならないでしょう。うさくん言っちゃらめええ。



秋田書店以外編
 票がばらけすぎて、誰か一人が一位に推したらそれだけで10位になるという争いだったようです。なので私が選んだ「薔薇だって書けるよ」もランクインしております。しかも10位ではなく、他にも選ばれた方がいるという事実にテンションがウナギ登りでした。(その方も一位に選んでるので、なんというか本当に幸せであったり)
 私の選んだ中ではもうひとつランクインしており2/5という思ったより入ったなあという印象です。全部ランキングに掠らない可能性が高いと思ってたのですが。あんまり選ばれなさそうなものをというコンセプトも少しはあったので、ランキングは関係ないはずなのですが、入っているとそれはそれで嬉しいものですね。



週刊少年チャンピオン編
 ひとつの雑誌に載ってる作品のランキングって目にする機会がないので、とても新鮮です。だって全作読んでるんですよ。上二つのランキングは知らないものや評判は知ってるけど読んだことないという作品もあるわけですが、このランキングにはそれが一切ありません。ランキングを見る私もそうですが、選ぶ側もそうなんですよ。(参加者はチャンピオン読者ですから、読切など全て、とはいかないまでも、ほぼ読んでいることでしょう)
 こちらも私の選んだものでトップ10入りしたのは2/5でした。その五作のランキング順位と自分の順位が同じ並びであったのには少し驚きました。おそらく自分の感性はチャンピオン読者の平均とはズレてるのだろうと思ってましたから。こういう形で「それほどズレてないよ」と言われたようで、なんかくすぐったい感じですね。
 最後にこのランキングについてひとつ言っておきたいことがあります。同一雑誌の中での順位付けですので、下位のほうは人気がないのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、それは間違いだと断言します。25位や26位といった、今回あまり票が入らなかった漫画も、面白いし、人気があります。
 チャンピオンよいとこ、一度はおいで!

チャンピオン読者が選ぶ!このマンガが面白いぞっ☆2011 に参加!

 昔からブログを拝見させて頂いていて、近頃はtwitterでお世話になっている漫画脳のササナミさんが以下のような企画を発表されたので、いっちょやってみますよ。

チャンピオン読者版このマン的な何かを開催しようじゃなイカ!

秋田書店作品部門(週チャン作品除く)
対象:2010年に秋田書店から単行本が刊行された週チャン連載以外のマンガ作品
秋田書店以外部門
対象:2010年に秋田書店以外の出版社から単行本が刊行されたマンガ作品
週刊少年チャンピオン部門
対象:2010 年に単行本が刊行された「週刊少年チャンピオン連載」のマンガ作品
及び、週刊少年チャンピオン本誌2010年NO.1〜NO.52に掲載された読み切り・短期連載を含む全作品

ということであります。
それでは早速、と言いたいところですが、秋田書店部門(週チャン作品除く)は単行本をリアルタイムで買っている作品数が5つに満たなかったため不参加です。最初から躓いていますが、気を取り直して行きましょう。


秋田書店以外部門

1位 『薔薇だって書けるよ―売野機子作品集』  売野機子
白泉社  2010/3/26に発売 主に楽園Le Paradisに掲載
薔薇だって書けるよ―売野機子作品集
 短編集なので少し企画の意図から外れてしまう気もしないではないのですが、規定としては問題無さそうなのでこれを上げます。(読切ですが、楽園Le Paradisに毎回掲載されています)
表題作がデビュー作でして、これを読んだときに衝撃を受けました。私の中で漫画革命が起きたのです。少女漫画的な短編作品を好む人には本当にお勧めです。そうでない人にもお勧めしたいですけどね。好き嫌いは結構分かれるようです。
 「人によっては古さを感じるであろう絵柄で、しかし現代的な感性で、詩的なモノローグを用いた、大人向けの少女漫画」という作風ですが、作品というか、この読書体験はとてもとても新鮮なものでした。(作風の似ている漫画家を挙げることは可能ですが)
 そして単行本の装丁がまた素晴らしい。少女の背後に輝かしい世界があるんですよ。でも彼女はその窓に背を向け書物を手に、くだけた姿勢で幸せそうに微笑んでいる。この物語性が、売野機子の作品をあらわしているようにも思えます。そしてそれは、表紙の素材や、カバーの下によって完成しているのです。世界は――この物語は、透き通ってもいるし、磨りガラスのように曇ってもいます。それがとても綺麗なのです。大好きなのです。
「彼女は漫画を見つけ、
 世界は売野機子を見つけた。」 と帯に書いた上條淳士に拍手です。
 私にとって、この言葉は言い過ぎではありませんでした。衝撃の一冊です。


2位 『晴れのちシンデレラ』  宮成 楽 
竹書房  2010/11/27に3巻発売 まんがライフMOMO連載
晴れのちシンデレラ(3) (バンブーコミックス)
 お嬢様高校の才媛である少女が、かつて極貧だった頃に培った個性を隠しながら内からにじみ出る本来の気品で人気者になってる四コマ漫画です。身体能力が半端なかったり、野性味にあふれてたり、お嬢様にあるまじき貧乏性を引きずってたりという個性をいいように解釈されてお嬢様達の間で真のお嬢様として慕われておりますが、そう解釈されるのは、心の美しさ、本物の気品があるから、という理由がなんとも素敵です。ギャグとしてももちろん面白いので、わりと万人に薦められるのではないかと思います。


3位 『DEAR BOYS ACT3』 八神ひろき
講談社 2010/10/15に5巻発売 月刊少年マガジン連載
DEAR BOYS ACT3(5) (講談社コミックス月刊マガジン)
 こんなに面白いのに世間様の評価低すぎるんじゃないのちょっと? って普段思ってるので挙げてみました。講談社漫画賞少年部門受賞、アニメ化、ミュージカル化とされていて評価低いというのも妙な話ですけど、好きな人が語ってる様子を見たことがないもので。
 最新は5巻ですが、これは通産でいうと59巻です。連載開始時期はスラムダンクより早いんですよね、このバスケ漫画。長いだけあって、しっかり描かれた試合数も多いので、どうしたって似た展開の試合が存在してしまいます。それでも面白いのは、不利な状況から逆転することの面白さだけに頼らない試合を描いているからだと思います。バスケットボールの面白さを描けているのだと。(あるいは描こうとしているのだと)
 

4位 『月華美刃』 遠藤達哉
集英社 2010/9/3に1巻発売 ジャンプスクエア連載
月華美刃 1 (ジャンプコミックス)
 こんなに面白くていいのだろうか、という感想を初見で持ちました。単行本で読んでるのでまだ3話だけですが、その各話にとても色々なものが詰まっています。1話1話が1巻分くらいの重量感があるようで、作品からはけして重さを感じさせない、読みやすい少年漫画であると思います。躍動感や、みずみずしさの描写が上手く、痛さや毒と言った暗いものも適度な配分になっています。(前作はちょい過剰でした、大好物ですが)
 クーデターを受け国から逃げることになった姫の成長を、竹取物語とSFと和風ファンタジーで彩る、心躍る活劇です。


5位 『白磁』 モリエ サトシ
白泉社  2010/7/16に2巻発売(完結)ザ花とゆめ連載 
白磁 第1巻 (花とゆめCOMICS)
 「触れる」という行為のエロチシズムと、そこにある罪を、少女漫画特有の黒さと優しさで包み込んだ、刺激作。罪というのは、触る対象が女子高生であるという意味もありますが、他者を知ってしまうこと、大人になってしまうことへの怖れみたいなものです。
 セーラー服の女子高生に触れたかったり触れられたかったりしたら読むのが吉ですよ。(白泉社の)少女漫画慣れしていないと厳しいですが。
 汚いものに触れさせられずに育てられた画家の男が、女子高生にやられてしまうお話です。「白磁」とは女子高生の肌であり、男の感性であり、少女自身であり、この漫画の世界のことでしょう。
 まったく情報無しにこの漫画に出会った自分を褒めたいです。


週刊少年チャンピオン部門

1位 『シュガーレス』  細川雅巳
シュガーレス 1 (少年チャンピオン・コミックス)
 2010年のチャンピオンに何があるのか、と聞かれたらシュガーレスがあると答えます。ストーリーが上手いか、ちゃんとしてるか、と言われたらイエスではありません。作中で描かれるエピソードはどこかで見たことがあると言えましょう。不良がケンカをするのです。学校の頂点を目指したり、チームの内乱があったり、他校から襲われたりします。そのくせ、終着点以外は結構ブレそうになったりするアンバランスさがありますが、それを類稀なるセンスと卓越した描写で、毎週毎週驚きを与えてくれる作品です。目が離せません。とても楽しいのです。


2位 『透明人間の作り方』 増田英二
 2010年冒頭の新連載陣の中で一番好きでした。その鬱屈とした全ての毒にやられました。もともと長編向きの話ではなかったように思いますし、短期連載として綺麗に終わったのですが、単行本未発売は悲しすぎます。もっと読みたいですよ、何度も読みたいですよ。


3位 『ギャンブルフィッシュ』 青山広美山根和俊
GAMBLE FISH 19 (少年チャンピオン・コミックス)
 堂々の完結ということでランクイン。私がチャンピオン本誌を毎週買うようになった大きな要因がこの漫画にあります。ラストのマカオ編は、本当に出し惜しみせず、全てをつぎ込んだ、濃厚な盛り上がりでした。酷い目に遭う奴はだいたいヒロインなあたりが好きですね。一番酷い目にあった人がメインヒロインです。美華さんかゴッキーか悩むところですね。


4位 『ANGEL VOICE』 古谷野孝雄
ANGEL VOICE 18 (少年チャンピオン・コミックス)
 もっと評価されて欲しい、という意味も込めてこの順位です。サッカー漫画としても人間ドラマとしても、名作です。当初から長期を想定されて描かれてると思うので瞬間最大風速というものはそれほどでもないかもしれませんが、大事なことが力強く描かれてまして、じわじわと煮えたぎってきますよ。


5位 『破壊症候群』 阿部共実
 読み切りから。デビュー作でありますが、その感性と画力に惚れました。ストーリー自体もパーフェクトでしたが、やはりそれを表現するための全てが尋常を超えるクオリティでした。あんまり絵の上手い人の画風では無さそうなのに、めちゃくちゃ上手いっていうギャップもありますね。現在web連載中のドラゴンスワロウも最高です。




 以上、チャンピオン読者が選ぶ!このマンガが面白いぞっ☆2011でした。選んでみるとやはり難しいもので途中でやっぱりアレのほうがとか、これを選ばないのは……と葛藤がありました。そもそも順位をつけるのは苦手なのです。みんな面白いよ!
 今回は外れましたが、脳内ノミネートされていたものをいくつか。
 ひみchuの文子さま、ミカるんX、NIGHTMARE MAKERあたりが秋田部門で読んでますね。チャンピオン読者の方とのやりとりが今年一年で増えましたが(webで)、みなさんわりと出版社単位で読まれてて驚きました。秋田好きが多いですね。
 志村貴子作品(放浪息子青い花、かわいい悪魔)、石黒正数作品(それでも町は廻っている、ポジティブ先生)、麻生みこと作品(そこをなんとか、路地恋花)、中村明日美子作品(同級生シリーズ、ウツボラなど)、よしながふみ作品(大奥、きのう何食べた?)あたりはこの作者からどれを選ぼうかと考えてたらいつの間にか作者ごと外れていました。好きなのにぃぃぃ。
 単体では宇宙兄弟天上天下来世であいましょう、リューシカリューシカ、保健室の死神真月譚月姫うさぎドロップあたりが脳裏に浮かびましたが、断念。
 チャンピオンでは、木曜日のフルットみつどもえ幻仔譚じゃのめ侵略!イカ娘ハンザスカイ、Goofyあたりを選びたい欲求が付きまとっていました。
 どれもこれも面白いよ!

 やってみて、途中お勧めしてるように書いてますけど、実のところ自分が好きだってだけでそれほど勧める気持ちがないことに気づきました。ここにあげた漫画も面白くないと言う感想を見かけたことはありますし、他人が絶賛してても自分には合わなかったことも多々あります。
 もちろんそれは当然のことで悪いことではないです。面白い面白くないは読んだ人が自分で決めたらいいのです。
 また面白い漫画を読むのもいいけど、それほどでもない漫画を読むのも楽しいと思いますよ。(苦痛でない程度に)バカにしてネタにしてあざけって楽しむというスタイルは個人的には認めがたいですけれど。つまらない漫画を読んでしまうことを恐れずにいろいろなものを読んでみて欲しいなと思います。
 当たり外れ気にせず、いろいろな物語(漫画に限らず)に触れてみるのもいいんじゃないでしょうか。

 今年はチャンピオン感想以外にもいろいろな作品の話が出来ればなあと思います。最後になりましたが、本年もよろしくお願いいたします。

週刊少年チャンピオン 2011年2+3号感想

 合併号でございます。来週が寂しゅうございます。


モンハン特集
 チャンピオンのコラボクエストの依頼主は徳川のみっちゃんだそうです。まあ順当なところですが、狩人は別に最強を志してないっすよ。農場経営で生きていきたいハンターだっていますって。依頼文に裸がっぷり四ツとあるので防具無し縛りでしょうか。イラストはハンザスカイから半座×ドボルベルク。半座がランスなのはちょっと意外。


聖闘士星矢ND
 車田御大の星矢の連載再開。サブタイトルは「片翼の堕天使」。どう考えても爆笑ものなんですけど、実際に漫画を読むとそうでもありませんでした。天闘士にエンジェルとルビ振ってるのは少しやられましたけど、さすが銀河神話……というか茶化すまでもなく聖闘士星矢ですからね。ただ毎週載っているわけではないので、単行本で読んだらいいかなーという気でいます。だってせっかくフルカラーで描かれてるならそれを読みたいですよ。


弱虫ペダル
 スカシの今泉復活! スカシの今泉復活!! 走れなくなった田所先輩をよみがえらせ、チームを首位争いにまで導いてきた坂道。彼が自転車を漕げなくなるほどの疲労の代償に得たものは、トップ集団という位置だけではありませんでした。一日目で御堂筋にすっかり心折られて、二日目にばらけた仲間について御堂筋から駄目押しをくらった今泉に希望を見せたのです。追いつくと言ったら追いつく、約束をきっちり守る男坂道の姿は「想いは届く」と教えるに至りました。追いつくと思うから追いつける、勝つと思うから勝てる。少年漫画ではとてもとても大事なことです。思い出せてよかったね。
 ところで今週はみんなのヒーロー坂道くんを皆が褒めそやし、俺のほうが坂道好きだぜと取りあうような回だったわけですが、鳴子が彼のことを「かっこいい」と表現しております。これは多分すごく大事なことで、思い返せばインターハイ前の1000km合宿のとき、坂道が今泉と鳴子に言ったのです。「2人のことすごくカッコイイと思ってるから」と。かつて憧れた人に憧れられたという構図になっており、物語全体から見ても大きなポイントなのではないかと思います。


範馬刃牙
 二週続けて刃牙VS千春。ボクシング烈伝はお預けです。弱点を用いて相手を壊さんとする刃牙に目潰しの構えを見せる千春。そこへ、目潰しは難しいから、俺から目で指潰しにいってやるぜと刃牙。上から目線にも程がありますが、そもそも狙われてから使うようじゃ千春流とは言えない気がしますね。だから千春流でなくなったものを千春流に戻した会話とも言えるかもしれません。さすがにオリバ戦などでみせた口八丁の手口ですね。オーガもわりと好きなので口撃は血筋でしょう。そしてついにG師匠から教わった初速から最速のダッシュを実践し、眼球で指を折り、なおかつ失明しないという離れ業をやってのけました。理屈はともあれちゃんと修行してたので良しとしましょう。


バチバチ
 先週の段階で腕捻りをしようとしてるのはわかったんですか、そこからの外無双とは。吽形さんお見事。幕下優勝で、今週の段階では、膝の描写もおそらく致命的なものにはなってないようなので、大丈夫ですよね。そう希望するしかありませんが、まずは優勝おめでとう!!


侵略!イカ娘
 麦わら帽子をかぶった瞬間のとまどいイカ娘が可愛い。早苗が登場したコマの小さく、細部が省略されている絵で、脇妄想余裕でした。今週は早苗がヒットでした。


聖闘士星矢LC
 今週は、25Pということもあるのですが、とても読みごたえがありました。戦うヨウマとアスプロスの力関係が二転三転し、ハッタリの効いたシーソーゲームとなっております。なんだとォ!? 言い合いだけになってしまうと陳腐なわけですが、画面の熱量と構成の妙によってまったくそれを感じさせない素晴らしい描写です。どちらもかっこよくて、これぞ少年漫画でありましょう。


みつどもえ
 伊藤さんの自分本位で無茶しないところが好きです。サンタさんを信じるがゆえの勘違いから話が転がりましたが、サンタさんを信じる人を信じたままでいさせないといけないのは何故でしょう。先日「君に届け」の作者である椎名軽穂先生がツイッターで、自分の漫画によってサンタがいないと知ってしまう子どもがいたらどうしようと悩んだと仰ってまして、最終的には自分の漫画で教えることになるものいいじゃないかという結論に落ち着いたそうです。信じ込ませていないといけない理由はないのですよね。まあ楽しみにしてる子に、当日に言うっていうのは避けるべきでしょうけど。それははそれとして佐藤パパの強靭な精神力はすごいです。福山似と想像されて怯まないとは……。


ドラゴンスワロウ
 チャンピオンTHE WEBで人気沸騰中のドラゴンスワロウが本誌掲載。作者の阿部共実先生は、画風からは想像できないほど画力が高く、また画面の構成力も半端じゃありません。今回も五ページで女子高生二人が会話するだけなんですが、会話自体の面白さもさることながら、表現が非常に素晴らしく、惹きつけられます。是非とも今後本誌連載からの単行本発売にまでたどり着いてほしい一品です。


はみどる!
 毎度ばかばかしいお笑いで、安定の一話。はみどる×クリスマスならこれ以外はあり得ないようなお話でした。ショタ複数攻めも好物なのですが、子供たちよ「古くて劣化してて期限切れの売れ残りで廃棄処分のヌリカベババア」を攻めてこそショタ攻めは活きるのですよ。まあかすみさんはののかの物なので、他には渡せませんけどね。ののかの愛はいつか報われてほしいです。


ナンバデッドエンド
 猛にラーメン屋フラグが立ったときにそんな気軽になられてもなーと思っていました。そして毎週少しずつフラグを育て、仕事の大事さにも気づいて、先週の段階であともう一歩欲しいと思っていました。今週、ついにその一歩がこれ以上ない形で描かれました。さすが、千代さん。もう感動ですよ。そして弟の剛は、高校生活が無駄じゃなかったことを示すように、いい友達がいっぱいいるんですよね。この局面にきて、周りが剛を救うように動いてくるのはいい構成ですねえ。あとは家族達も動き出してほしいのです。猛、早く剛にラーメンを食べさせるんだ!


ハンザスカイ
 半座も主人公ですから過去の不良時代とはいえそこまで悪いことをしてるとは思ってなかったのですが、思ったより半座に非が無さ過ぎて戸惑っています。半座に恨み持ったキャラが出てきたので、新しい側面に入るかと思ったのですが、どうなることやら。ただ先生側のほうにも火種が存在していたので、どう噛み合うかに期待します。"変化を認めるかどうか"成長する前のことをどう見るか"あたりに焦点が来るのでしょうか。


シュガーレス
 獣の匂いがする本物の野獣、矢坂兄弟の前に現れたシロは、ケンカと暴力について述べ、九島の流儀としてのケンカでケリをつけると弟を挑発して兄に瞬殺されました。やっぱり、やっぱり駄目でした。シロちゃん……あなた弱いんだから大人しくしといてよ、なに自分からカマされに来てるんですか。しかし矢坂兄いの美味しいもの取りの性質は異常ですね。弟に美味しいものを与えない性分でしょうか。何はともわれ、今週は非常に性的なお話でした。先週も書きましたが、矢坂弟が舌出すの反則。もう可愛すぎますよ、てへぺろ。鼻をパキるのが趣味の弟ですが、シロちゃんの鼻も右曲がりにされてしまいました。右利きだからですね。


ケルベロス
 ひとまず村抉編解決……なのですが、安らかな時間は短そうです。冒頭の「砕け…千切れ…獣が獣にするように」という表現は好きですが、つまりどんどん景が人間から離れていくわけですよね。ヒーローの宿命でもありますが、やはり辛いですね。常世のみなさんはもっとクローズアップする必要があるくらいに個性豊かでいらっしゃるので、救護班長殿の日常を早く早く! 


スーパーバイトJ
 逆に鮮魚部の日常で溢れておりますNJ先生。大丈夫よ、今日買ってくれなくても明日買ってくれるかもしれないじゃないですか。スーパーは一度だけの客よりも常連客のほうが多いわけですし、無駄にはなりませんよ。次の説明のためのステップアップにもなりますよーと、読者目線からは言えます。ミツイシさん可愛い。


クローバー
 イケメン帰国子女様は絶好調な御様子ですが、ケンジの恋愛が一歩一歩着実に前に進んでる様が微笑ましくて素敵ですね。調子づいて恋愛アドバイスして先輩面してるトモキはそろそろ爆発してもいい頃合いです。吐き気がする程リア充だらけだぜ。


キガタガキタ
 紙面から溢れでる曲線美。曲線と無縁なものからこうもエロスが生まれるのですね。やはり注視すべきは足の裏です。小指の付け根あたりが良いですね。キガタがハーレム地獄な本作ですが、メインヒロインはやっぱり恐怖新聞という安定さ。自分の偽物に一発で気づいてくれたキガタに恐怖新聞もきゅんきゅん来てることでしょう。サブヒロインな方々が本当の敵に気づくときはくるのでしょうか。


ANGEL VOICE
 習志野実業との試合が始まりましたが、さすがの実力校。一筋縄ではいきそうにありません。サッカーの実力もさることながら、みんな精神力が高めで高校生とは思えません。落ち着いたゲーム運びと、相手の言動を冷静に煽り返す実力。サッカーに対する思いはともかく、精神面に不安が残ったり、精神面は大丈夫でも足に不安が残ったりする市蘭面々は少々厳しいかもしれません。


釣り屋ナガレ
 長かったキャスティング大会編も終わり、本職である魚釣りに戻ってきました。「鯛の九つ道具」ということで、鯛釣りのようです。ナガレも中学を卒業して、本格的に釣り屋として生きるのでしょうから、ここが分かれ目のエピソードとなりそうです。その対象が鯛なのは、なかなかいい感じではないでしょうか。釣りという観点から見るとまた違うでしょうが。


出陣!ムショ高排球軍
 もしかして最終回なんじゃ、と途中から思ってしまったのですが、今週はともかく、その日が遠くないように思えてきました。それが杞憂に終わるといいなーとは思いますが、悪い話も聞いたので、安心は出来無さそうです。副キャプテンと互いに認め合ってることがわかり、チームとしてまとまったのは、非常に喜ばしいことです。大会で盛り上がってくれるといいのですが。


りびんぐでっど!
 短期集中連載、最終回。今までの回に比べると勢いだけが飛び出してまとめ切れてない印象を持ちましたが、最終回であるので、それもまた良しでしょうか。途中でアンケ求めるあざとい姿勢もありましたが、十二分に面白い作品でありました。個人的にはりびんぐでっどの続きでも新作でもいいのですが、また復帰して本連載を心待ちにしております。


木曜日のフルット
 悪い顔した母性本能もあったものです。ひと編み一円とはかなりの暴利ですが、スタートは思いやりなのが鯨井先輩の憎めないところ。スタートから金儲け目当てでも憎めませんけど。


 今週はキグナス氷河による表紙詐欺が起こりましたが、一輝のときは詐欺した次の週に登場してた気がするので、来週氷河がくるのかもしれませんが来ないような気もするのです。