週刊少年チャンピオン 2011年11号感想

 新連載が面白くてますます好調なチャンピオン感想です。


囚人リク 瀬口忍 第1房 極楽
 囚人リクというからにはリクくんは囚人である……はずですが、第1話は囚人になるまでの物語ということで、タイトルでネタバレされている感じのお話となっています。その意味では先が読めるわけですが、そこを丁寧に描き、しかもちゃんと読ませる力量があって、読み応え十分でした。予告カラーを見る限りもっと泥臭い絵かと思ってまして、また脱獄ものということで一般受けを心配していたんですが、スタイリッシュとは言えずとも読みやすく、きっちりと少年漫画していて問題無さそうです。
 隕石が落ちて、世界が一変したかというと、そうでもなく隕石の被害部分だけを隔離している世界観がいいですね。内部では色々と変化がありそうですけど、その辺りを脱獄アクションに交えてどう描いてくるかが楽しみです。


弱虫ペダル 渡辺航 RIDE.146 動く
 御堂筋のすごさ、が出ましたね。綿密な計画とそれを支える確かな実力。そして発想の奇抜さと現実にする実行力。そうして、初めて御堂筋の、京都伏見の大幅リードが描かれました。総北と箱根が競りながら追いかけるという図は新鮮ですね。内面はずっとそういう感じだった気もしますけど。それにしても、ラスト、遠く差をつけられた御堂筋を見て、脳裏浮かんだことの違いは面白いですね。今泉くんのメンタルに再び不安がよぎってきましたが、大丈夫ですか。


侵略!イカ娘 安部真弘  174話 催眠術じゃなイカ
 実際のところ、動物に成りきらせる催眠術って無理がありますよね。でも普段からしたいと思っていることになら効果はありそう……ということで千鶴にはなんとも効果的でありましたね。3人(+1匹)目であるから催眠術にかかったふりをする理由説明がいらないから理由説明が描かれてないわけですが、描かれてないからこそ別の理由があることがわかる上手い構成ですね。技術の勝利! 千鶴さん可愛い!!


みつどもえ 桜井のりお 223卵性「ミュージックアザーズ
 心霊CDを聞いて、まっさきにしんちゃんに飛び込むふたばや、周りがどれだけ騒ごうと意に介さず自分のペースを守った食事をするみつばなど、注目する点は多々あるわけですが、泣き慌てながら思わず松岡のさっちゃんを名前呼びしちゃったひとはですよね。 


てんむす
 エ、エロい……。いや、エロくは無いんですが、エロいです。なんというか客を呼び込めそうなエロスですね。いやエロくはないです。大食いを隠して高校デビューを企てる天子が可愛いですね。乙女心と食欲の天秤に揺れる……なんてエロス! いやエロくはないです。ただ可愛い女の子が欲と戦いながらヨダレを垂らしてるわけですね。大食いについての理論と、美味しそうに食べる天子、メリハリのはっきりした展開で、見事に入部までが描かれました。そうしながらも他キャラの魅力も出て来ててお得感がありますね。ページ数多い間に魅せるところをきっちり魅せてきた期待の一作です。


範馬刃牙 板垣恵介 第243話/親子愛
 きっちり現実に即して総理大臣が変わっていましたね。そうして前回の刃牙の頼みごとがきっちりと伝わっていて一安心です。


バチバチ 佐藤タカヒロ 第85話/たりねー…
 シゴキというものの扱いは難しいですね。体罰という側面は間違いなく存在していて、現代社会において全肯定は出来ないだろうと思います。大丈夫ですよ、とかドヤ顔で言ってる場合の話ではないはずなんですよ。もっとちゃんと身体のこと言ってやらないと駄目でしょうにと思うんですけどね。親方はそのために師匠と呼ばれるんじゃないんですか。
 鯉太郎の身体の性質の話と、相撲の制度文化の話を同時にしたのは、結構面白いですね。前者を乗り越えて精神的に余裕が出来るだけで後者を肯定出来そうですし。今回のはそういうの以前の問題ですけど。


ナンバデッドエンド 小沢としお 第110話 肉ベスト
 ヤサグレ&ヤクザ問題が解決して、白百合の仲間と会った剛。そして家族と普通に話が出来た剛。よかった……本当によかったよおおお。あまりのデッデエンドっぷりにハラハラどころではありませんでしたが、なんとか上向きに至れて本当によかったと思います。みんなの顔がいい顔ですよ。


ドカベン 水島新司
 新人冬木はかなり性格が悪くて、それを負けん気が強いみたいなフォローを必要とせずに肯定する清濁併せ呑む作品ですが、それでも主人公側の性格の悪いピッチャーと、相手側の男気あるバッターという描写が同じ話にあるとなんか妙な気持ちになりますね。


聖闘士星矢LC 原作 車田正美 漫画 手代木史織 第215話 結論
 馬鹿野郎ーーーーーーーー!!! という絶叫が書き文字になってますね。もうアローンはほんと馬鹿! 馬鹿馬鹿!! そんなアローンに送る奇蹟の拳が、しかし。ほんと作中における二人以外のみんなと心を一つにしてますよ。泣いて笑って叫んで。ああ、ああ。


ケルベロス フクイタクミ 第五十四刻 ただ、信じ
 どうしようもなくて大変な状況なんですけど、絶望よりは希望が見えます。あまりに強く守られることなんて考えたこともない友恵だから、自分ではわからないのでしょう。そこを金屋さんは、よく言いましたね。景本人の口からよりも効果的だったかもしれません。景本人は大変な状態ですし、冬子先生のことも気が気でないんですが、景の今までの努力の肯定があっていい感じです。


シュガーレス 細川雅巳 Vol.52 捕食者
 シロに敗れた弟、典斗を不様と切り捨てる矢坂兄でした。私はシュガーレスをかっこいいこと言えたら負けてもなんとかなる漫画だと思っているのですが、勝てないなら負け犬の遠吠えであるらしいです。自分がかっこいいこと言えないから言うそれこそ負け犬の遠吠えではありませんか、と思いながら、実際にケンカしてる彼らは負けてもいいとは思っていませんからやはり勝つべきなんですけど。そんな矢坂兄と戦うマリモは、初の苦戦中……と思いきや空腹により力が出ないらしく食事を始めてしまいました。そこを律義に待ってしまう矢坂兄も、原始時代には向いて無さそうです。そうしてマリモのシャケに勝って九島の頂点に立つ宣言が入りました。この周防・矢坂兄弟編に入って、シュガーレスの地盤が完成した感じですね。一番最初から完成していた岳はさすがの主人公です。


ハンザスカイ 佐渡川準 第53話・野良犬にも牙がある
 次鋒といえば、野田。野田といえば……ここらで負ける。主人公たる半座が勝って、野田で負けて、1勝1敗でさあどうなる、というような展開が多かった今までの試合です。それは漫画というか物語上のセオリーという面もあって、どうしてもそういう形になっちゃうことはわかります。なので、そこからの脱却という脚本上の話と、どことなく負けに慣れてしまった野田君の革命が上手いこと噛み合ってきました。(もっとも負けに慣れてしまったのも脚本の話ではありますが)それと、今まで試合では勝てなかった野田君が応援してた意味も積み重なって、野田フィーバーですね。思えば野田君は結城と比べて、不良・半座にナチュラルにビビってましたね。それだけ素直な子ですから、本当は負けたままで黙っていられるわけはないんですよね。野田ケン太劇場開幕ですよ!


スーパーバイトJ 沼田純 第36話・あぶない鮮魚部
 鮮魚部怖い!! 危険がいっぱいすぎて、NJの心身が危ないですよ。漫画家に大事な手への危険が多くてちょっとはらはらします。しかし、漫画家殺すにゃ刃物はいらないようで……。ミツイシさんが相変わらず可愛くて素敵です。


モメンタム 濱口裕司 第3話/練習試合の相手!?
 1話・2話のドラマがよかったところで、3話、練習試合が始まります。対戦相手は、宗介の最後の試合相手。しかし、相変わらず主人公名和は良いこといいます。「宗介君最後の相手じゃねーっ 俺たちの最初の相手だっつの!」この視点を一気に切り替える台詞、さすがに流れ(モメンタム)を変える男。来週から試合が始まりそうな急ペースですが、ここまでドラマを良い感じで描いてきてるので、試合がどう描かれるか楽しみです。


クローバー 平川哲弘 第186話とにかく謝ろう
 ケンジ……電車乗るから携帯の電源を切ったんですね。マナーの良さが、ここでは仇となってしまいました。イケメンの毒牙にかかってメイちゃんがえろひどいことになってしまう……と思いきやエロくなくただひどい方向も見えてきました。どちらにせよ、イケメンがしっかりとギルティになってしまいました。メイちゃんも疑いつつも結局家に行っちゃうあたりガードは弱いんですけど。


ANGEL VOICE 古谷野孝雄 第184話 乾のプライド
 監督の指示に反対してまで、仲間の感情面を気にしつつそれによって相手の感情までも計算するコーイチさんは、プレイ以外の面が高校生離れしすぎてますね。そして、やはり決定力に欠ける成田。さすがにここらで一発かましてもらわないと……。一対一になったら勝てるから、一対一にさせるためのプレイがあるわけで、そこをしっかりしてもらわないと漫画的にもしんどいのです。


キガタガキタ! 原作 つのだじろう 漫画 西条真二 第26話「不幸新聞」
 薄幸少女が不幸新聞に取り憑かれたということは、もともと幸薄かったんでしょうか。だから、こそ不幸新聞のフウコと仲良くやれてるのかもしれませんね。フウコも可愛いけど、薄幸少女夏川ちりが可愛くて好みです。今後キガタ戦線に参加してくるかどうかは未知数ですけど。


木曜日のフルット 石黒正数 頼子の巻9
 早菜ちゃん!! こう名前呼びがここでもきましたか。バレンタインを前に、女達が荒ぶっているのかあああああ。そう考えると設定を練り込んだてれ隠しなのかもしれませんね。



 来週は、新連載大攻勢第4弾「十字架とコイン」那須信弘が始まりますね。まがまがしい狐面を顔の横につけて、ダークシティ・アクションと銘打たれてますので、私が好きそうなにおいがします。期待大です。これまでの三作とも私的には良い感じなので、これも続いて欲しいところです。